日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS21] 惑星科学

2015年5月24日(日) 14:15 〜 16:00 A02 (アパホテル&リゾート 東京ベイ幕張)

コンビーナ:*黒澤 耕介(千葉工業大学 惑星探査研究センター)、濱野 景子(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、座長:小林 浩(名古屋大学理学研究科)、城野 信一(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球環境科学専攻)

15:30 〜 15:45

[PPS21-19] 巨大惑星によって励起される密度波の伝播が原始惑星系円盤ギャップの形成に与える影響について

*金川 和弘1武藤 恭之2田中 秀和1谷川 享行3竹内 拓4 (1.北海道大学科学研究所、2.工学院大学基礎・教養教育部門、3.産業医科大学医学部、4.東京工業大学理工学研究科地球惑星科学専攻)

キーワード:原始惑星系円盤, 円盤-惑星相互作用, 円盤進化

原始惑星系円盤内の巨大惑星は円盤との重力相互作用によって周囲のガスを吹き飛ばし、惑星軌道に沿ってリング状のガス密度が減少した領域(ギャップ) を作る。このようなギャップの形成による惑星周辺のガス密度の低下は、惑星への円盤ガスの降着を制限し惑星の成長を妨げる。さらに、タイプI惑星移動からタイプII惑星移動への遷移のように、惑星移動を定性的に変えてしまう。このため、ギャップの深さ・幅と惑星質量の関係は惑星の質量・軌道進化を考える上できわめて重要である。
さらに、このような円盤ギャップの形成は近年、多数発見されているリング状の隙間を持つ「前遷移円盤」の形成に直結する過程であると考えられている。このような円盤観測の結果と惑星形成を結びつける上でも惑星によるギャップ形成の理論モデルの構築が求められている。

我々の円盤中の密度波の伝播と動径方向の圧力勾配による円盤回転則の変化を考慮した1次元理論モデルを用いた解析によると(Kanagawa et al. 2015)、密度波が減衰する位置によってギャップの幅だけでなく深さが大幅に変わることが示唆されている。そこでオープンな数値流体計算コードであるFARGOを用いて惑星周りの定常ギャップ構造を計算し、ギャップが開いた場合の密度波の伝播・減衰過程を調べた。従来では、木星サイズの重い惑星の場合、密度波はすぐさま粘性や衝撃波によって散逸・減衰し、円盤ガスに角運動量を受け渡すと考えられてきた。しかし、今回の結果はその描像とは異なり、密度波は相当量の角運動量をギャップの外側にまで運んでいることを示唆している。本講演では、この結果を紹介しつつ、密度波の減衰過程とギャップの幅・深さの関係について議論する。