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[PPS01-08] 木星氷衛星探査計画JUICE
キーワード:木星, ガニメデ, 衛星探査
JUICEとは、ESAが2012 年5 月に選定したLクラス計画であり、2022 年打ち上げ,2030 年木星系到着,2032 年ガニメデ周回軌道投入の予定である。木星到着後、まずは木星周回軌道から木星系の観測を実施し、ガニメデ周回軌道投入後はガニメデという太陽系最大の氷衛星の精査を行う。サイエンス・テーマは(1)巨大ガス惑星の世界の理解(2)氷衛星(ガニメデ,エウロパ,カリスト)の探査である。AOとその後の選定を経て決まったJUICEに搭載される11観測機器提供チームのうち、3つの機器(RPWI, GALA, PEP/JNA)については日本からJUICE-JAPANがハードウェアの一部を提供する事になり、2つの機器(JANUS, J-MAG)についてハードウェアの提供は無いがサイエンスCo-Iとして参加することとなった。海外が主体となる極めて魅力的な大型計画へ日本から機器提供という形で参加することは今後とも活用されるべきである「海外計画への参加」という枠組みでありJUICE-JAPANはその先駆けとなる。JUICEの科学的課題は (1)系外惑星を意識した,巨大ガス惑星の世界の理解,および、(2)アストロバイオロジーを意識した,氷衛星(ガニメデ,エウロパ,カリスト)の探査である。木星周回軌道から木星系の観測(磁気圏,木星大気,エウロパ・カリスト・ガニメデのフライバイ観測)を実施し、巨大ガス惑星の原型としての木星系探査を行うことで、「巨大ガス惑星系の起源と進化」を解明する事、4つのガリレオ衛星のうち、エウロパ・カリストのフライバイ観測、太陽系最大の氷衛星ガニメデの周回観測による精査を実施し、生命居住可能領域の探査を行うことで、「生命存在可能領域としての氷衛星地下海の形成条件」を解明することがJUICEの目的である。JUICEの打ち上げは、アリアン5で行われる。打ち上げ時ドライ重量は約1800kg, 燃料は約2900kgである(必要なΔVは約2700m/s)。3軸制御の探査機であり、太陽電池パドル面積は70m2、それにより約700Wの電力を発生させる。科学観測用には、重量104kg、電力150Wというリソースが想定されている。通信は、XおよびKaバンドによる。打ち上げ後は、地球・金星・地球・地球というスウイングバイを経て、7.6年かけて木星に到着する。ガニメデ周回軌道投入後は、ガニメデという太陽系最大の氷衛星の精査を目的とする(この精査に加えてエウロパとカリストのフライバイ観測があること、つまり、アストロバイオロジーの観点から注目を浴びる「地下海」を持つ氷衛星3つのすべてをJUICEは観測するということは、特筆に値する)。最終期には、高度500kmでの周回観測を100日間、200kmでの周回観測を30日間実施し、最後はガニメデに衝突してミッション終了である。日本からJUICE-JAPANとして参加する、ハードウェア提供3機器(RPWI, GALA, PEP/JNA)とサイエンス参加 2機器(JANUS, J-MAG)を足し合わせると、木星本体(JANUS)、木星磁気圏(PEP/JNA,RPWI,J-MAG)、氷衛星(GALA,J-MAG,JANUS)といったJUICEのサイエンス・テーマのすべてに、日本からバランス良く貢献が可能であることがわかる。2013 年 9 月に正式に JUICE-JAPAN WGが設立された後、JUICE-JAPAN WGは、平成26年2月に小規模プロジェクトの募集に対して応募し、9月に理学委員会によるMDR/SRRを通過した。その後WG活動として、欧州PIとの観測装置提供部分の確定作業、観測装置担当部分に関わる開発、宇宙研SRR/所内経営審査に向けた準備等を実施。現在は、WGからプリプロジェクトへの移行時期である。今後、プリプロジェクト、プロジェクトと進み、平成28年度にはPDR、平成29年度にCDRと進んでいく予定である。JUICEはプロジェクト終了までまだ約20年かかる長期間に渡るプロジェクトである。適宜世代交替を進めながら是非ともこの魅力ある大型ミッションへの参加を成功させたいと考えている。