14:45 〜 15:00
[HDS27-13] 三次元津波電磁場シミュレーションによる海底津波電磁場データの再現
キーワード:三次元シミュレーション, 有限要素法, 津波, 磁場, 四面体要素, 時間領域
良導体である海水が地球主磁場中を運動すると、海水中に電流を流し二次磁場を発生させる。この現象は津波電磁場現象と呼ばれ、2010年チリ地震や2011年東北地方太平洋沖地震など近年の巨大地震津波の発生以降、関連する海底・陸域電磁場データが数多く報告されてきた(e.g., Minami et al., 2013)。津波電磁場現象は、津波の早期警戒、津波現象の解析、及び、電気伝導度構造推定への応用が期待されているが、いずれの目的においても、実海底地形と海底下の電気伝導度構造を考慮し、津波の過渡的性質を再現できる、精度の高い津波電磁場シミュレーションコードが必要となる。
本研究では、これらへの応用を目指し、時間領域の三次元津波電磁場シミュレーションコードを開発した。本コードでは、時間領域の有限要素法を非構造四面体要素と共に採用している。四面体要素は、直方体要素を用いる三次元数値計算手法に比べて、精度の高い地形表現が可能である。本シミュレーションでは、まず、渦なしの非圧縮流体を仮定し、速度ポテンシャルに関するラプラス方程式を線形境界条件と共に解くことで、津波伝搬を計算する。次に、得られた津波速度場をソースとして磁場の誘導方程式を解き、津波よって誘導される電磁場を計算する。流体計算と電磁場計算において同じ四面体メッシュを用いることで、自己無撞着な結果が得られる点に本シミュレーションの利点がある。
本研究では、このコードを用いて、Satake et al. (2013) の波源モデルを初期条件とした、2011年東北地震津波の三次元シミュレーションを行った。その結果、日本海溝東側の海底観測点における津波磁場データが十分に再現できないこと、特に、位相が概ね一致する一方で、計算された磁場の振幅が実データに比べて小さくなることが明らかとなった。この結果は、2011年東北地震津波の波源モデルを、津波電磁場データを用いて改良できる可能性を示唆している。
本発表では、本研究で開発した津波電磁場の三次元シミュレーション手法、及び、2011年東北地方太平洋沖地震津波を対象としたシミュレーション結果と海底磁場データの比較結果を報告する。またこれに加え、海底津波磁場データを説明可能な、2011年東北地震津波の波源モデルについて議論する予定である。
本研究では、これらへの応用を目指し、時間領域の三次元津波電磁場シミュレーションコードを開発した。本コードでは、時間領域の有限要素法を非構造四面体要素と共に採用している。四面体要素は、直方体要素を用いる三次元数値計算手法に比べて、精度の高い地形表現が可能である。本シミュレーションでは、まず、渦なしの非圧縮流体を仮定し、速度ポテンシャルに関するラプラス方程式を線形境界条件と共に解くことで、津波伝搬を計算する。次に、得られた津波速度場をソースとして磁場の誘導方程式を解き、津波よって誘導される電磁場を計算する。流体計算と電磁場計算において同じ四面体メッシュを用いることで、自己無撞着な結果が得られる点に本シミュレーションの利点がある。
本研究では、このコードを用いて、Satake et al. (2013) の波源モデルを初期条件とした、2011年東北地震津波の三次元シミュレーションを行った。その結果、日本海溝東側の海底観測点における津波磁場データが十分に再現できないこと、特に、位相が概ね一致する一方で、計算された磁場の振幅が実データに比べて小さくなることが明らかとなった。この結果は、2011年東北地震津波の波源モデルを、津波電磁場データを用いて改良できる可能性を示唆している。
本発表では、本研究で開発した津波電磁場の三次元シミュレーション手法、及び、2011年東北地方太平洋沖地震津波を対象としたシミュレーション結果と海底磁場データの比較結果を報告する。またこれに加え、海底津波磁場データを説明可能な、2011年東北地震津波の波源モデルについて議論する予定である。