16:45 〜 17:00
[SVC12-10] 傾斜記録から推定される小規模爆発過程-新燃岳,口永良島, 御嶽山-
キーワード:水蒸気爆発, 傾斜, 山体変形, 小規模爆発, マグマ水蒸気爆発
火山噴火の際に、どのようなタイムスケールでマグマやガスが噴出するかについて、噴出物採取や火山噴煙のモニタリングが半直接的で有効な方法である。一方、山体変形を捉える測地測量は、山体下の圧力源の時空間変化を捉えることに有効で、霧島山では傾斜計記録と噴煙高度がよく相関していることが示された(例えば、Kozono et al. 2004)。近年の火山観測網の整備により、水蒸気爆発やマグマ水蒸気爆発のような小規模の噴火においても、噴火前後の山体変形が傾斜計に記録されている。今回、この記録の時間的特長を調べ、小規模爆発のメカニズムについて考察したので報告する。
2014年9月27日の御嶽山の水蒸気爆発は、火口南東約3 kmに位置する気象庁田の原観測点の傾斜計にその前兆的膨張に加えて、噴火継続中の山体変形が記録されている。11時52分に始まったとされる爆発の直後から、山体が次第に火口方向に沈降していく様子が捉えられている。2014年8月3日の口永良部島のマグマ水蒸気爆発では、12時27分頃から噴火に伴うと考えられる空振が観測されている。火口から北東約2.5 kmの新岳北東山麓点の傾斜計は、その頃から大きく変動し、空振振幅が小さくなる数十秒後から、次第に火口方向の沈降を示す。2010年5月27日の新燃岳の水蒸気爆発では、傾斜計の記録に加えて火口内の映像記録(Kato & Yamasato, 2013)から、噴火発生時から火口方向が沈降していくことがわかる。これらの沈降は、ほぼ指数関数的に減少し、時定数はそれぞれ、上述した火山の順に、それぞれおおよそ3分、20秒、3分である。
この特長をNishimura (1998)で提案されている噴火の力学モデルと比較した。このモデルは、噴火直前に体積Vの溜まりに蓄えられていた火山性流体が断面積Sの火道を通じて、疑似理想気体で表現した火山性のガスが等エントロピー過程のもとで噴出する。モデルパラメータは、S v_0 / V(v_0は初期噴出速度)の他に、ガスの比熱比、噴火前の溜まりの増圧量dPである。マグマ溜まり内の圧力P(t)と、各火山で観測された傾斜変動と比較すると、その時間変化は非常によい一致を見る。この一致は、水蒸気爆発は山体下に蓄えられた疑似理想気体が火道から噴出するという単純なモデルで十分表現できることを示唆している。また、時定数からS,V,v_0と比熱比の関係を求めることができる。水蒸気爆発やマグマ水蒸気爆発の記録は少なく、まだ3例に限られるが、今後のデータの蓄積、あるいは、他の異なる様式の噴火との比較により、その発生過程の詳細が明らかになると期待される。
2014年9月27日の御嶽山の水蒸気爆発は、火口南東約3 kmに位置する気象庁田の原観測点の傾斜計にその前兆的膨張に加えて、噴火継続中の山体変形が記録されている。11時52分に始まったとされる爆発の直後から、山体が次第に火口方向に沈降していく様子が捉えられている。2014年8月3日の口永良部島のマグマ水蒸気爆発では、12時27分頃から噴火に伴うと考えられる空振が観測されている。火口から北東約2.5 kmの新岳北東山麓点の傾斜計は、その頃から大きく変動し、空振振幅が小さくなる数十秒後から、次第に火口方向の沈降を示す。2010年5月27日の新燃岳の水蒸気爆発では、傾斜計の記録に加えて火口内の映像記録(Kato & Yamasato, 2013)から、噴火発生時から火口方向が沈降していくことがわかる。これらの沈降は、ほぼ指数関数的に減少し、時定数はそれぞれ、上述した火山の順に、それぞれおおよそ3分、20秒、3分である。
この特長をNishimura (1998)で提案されている噴火の力学モデルと比較した。このモデルは、噴火直前に体積Vの溜まりに蓄えられていた火山性流体が断面積Sの火道を通じて、疑似理想気体で表現した火山性のガスが等エントロピー過程のもとで噴出する。モデルパラメータは、S v_0 / V(v_0は初期噴出速度)の他に、ガスの比熱比、噴火前の溜まりの増圧量dPである。マグマ溜まり内の圧力P(t)と、各火山で観測された傾斜変動と比較すると、その時間変化は非常によい一致を見る。この一致は、水蒸気爆発は山体下に蓄えられた疑似理想気体が火道から噴出するという単純なモデルで十分表現できることを示唆している。また、時定数からS,V,v_0と比熱比の関係を求めることができる。水蒸気爆発やマグマ水蒸気爆発の記録は少なく、まだ3例に限られるが、今後のデータの蓄積、あるいは、他の異なる様式の噴火との比較により、その発生過程の詳細が明らかになると期待される。