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[SSS29-13] 2011年東北地方太平洋沖地震の発生直後の震央海底水温の急上昇
キーワード:東北沖地震, 海底, 水温
東北沖地震時に震源直上において海底圧力が8点で計測されていた。これらの海底圧力計には計測の温度補償のための温度計が内蔵されている。その温度記録は外部温度(海底水温)に対し、10-20分程度の遅れ時間で応答しており、海底水温のよいproxyとして使える。前回の連合大会では以下のことを紹介した(稲津ほか2014 JpGU)。東北沖地震の発生から数時間してから、海溝に近い3000-6000m水深の2観測点において、ほぼ同時に海底水温が上昇し始め、さらに数時間かけて0.1°C上昇した。この異常は短くとも10日ほど継続していた。それより水深の浅いところでは、同様な異常は計測されなかった。今回、その温度異常を説明するシンプルな地球物理学モデルを考察した。まず、2点で温度上昇したことから、大雑把に必要な熱量を見積もると4*10^16Jであった。さらに数時間かけて温度上昇したことからフラックスは2*10^12J/sであった。これらの数字は、プレート拡大軸でよく見られるhydrothermal vent systemにおけるmega plume(爆発的噴火)と類似しているので、似たような爆発的現象が起こったと考え、hydrothermal plume model(Wilcock 1997 JGR)を当てはめた。ここで、東北沖地震における分岐断層を熱流路(Tsuji et al. 2013 EPSL)としてモデル化した。すると熱の噴出口での温度が約200℃と見積もられた。そして、東北沖地震のプレート境界の地震時すべりを代表パラメータとする摩擦熱(Kano et al. 2006 GRL)を熱源とする移流拡散モデルを当てはめると、海底における200℃が無理なく説明できる。JFASTによるプレート境界の温度計測に基づく東北沖地震の地震時摩擦熱(Fulton et al. 2013 Science)を踏まえ、この摩擦熱の一部が分岐断層を伝って海底に漏出したと考えた。