日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG58] 岩石・鉱物・資源

2015年5月25日(月) 16:15 〜 18:00 203 (2F)

コンビーナ:*三宅 亮(京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻地質学鉱物学教室)、角替 敏昭(筑波大学生命環境系)、藤永 公一郎(東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻)、土谷 信高(岩手大学教育学部地学教室)、座長:三宅 亮(京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻地質学鉱物学教室)

17:30 〜 17:33

[SCG58-P12] 地質学のフィールドワークに用いることが可能な空間フィルター速度計測技術による可搬型粒度分布測定装置の提案

ポスター講演3分口頭発表枠

*佐藤 文章1笹倉 大督1 (1.スペクトリス株式会社 マルバーン事業部)

キーワード:リアルタイム・インライン粒子分析, 可搬型による粒度分布測定, 篩分, 地質学のフィールドワーク, 空間フィルター速度計測技術

1.Introduction
従来、地質学分野にて粒子径評価に多用されている手法は篩分けである。篩は、可搬が可能であり、壊れにくく、理解しやすいという利点がある。しかし、分解能が低いことや、測定に手間がかかることなどの問題点があった。このことから、野外にて、採取したサンプルをその場で、瞬時に連続して広いレンジで粒度分布をモニタリングすること可能なら、有用であると考える。このような要求に応える一つの手法が、空間フィルター速度計測法によるインライン粒子分析技術である。空間フィルター速度法は、光学式粒子カウント法の一種であり、リアルタイムにマイクロメートルからセンチメートルまでの広い範囲のサンプルを瞬時に測定可能である。このため、野外の自然状態における岩石・水域などの粒度分布を研究や探査に使用可能であると考えている。本報告では、本手法を用いた装置による応用の可能性を提案する。

2.System
装置はParsum(Malvern Instruments 社製)を用いた系を提案する。本装置の特徴は、小型、軽量であり、携帯用電源を使用可能、振動に強く、移動(輸送等)してもキャリブレーション調整が不要である点にある。測定のレンジは50-6000μmであり、地質学で粒子解析に一般的に必要とされるレンジは満たしている。

3.Feasibility study
紛体のリアルタイム測定の実施例としての配置概要をFig.1に示した。具体的には、粉体の輸送中のラインに測定プローブを簡易的に設置し、粒度分布をリアルタイムに測定すると同時に、定期的にサンプルを抜き取り、篩との比較を行った。粉体の輸送中のラインに手差しで設置した瞬間から、PCに表示された粒度分布をリアルタイムでモニタリングを行うと同時に、サンプルを粉体ラインから一定量抜き取り、篩(ロータップ型振とう機)にかけた。おおよそ1分間の測定時間で、約10000粒以上の粒子が測定され、粒度分布Dn50では146umを示し、篩メッシュとの比較では150umではParsumは64.2%に対して篩は57.4%、その他の値75um,106um,212umのメッシュに対してもほぼ同等の重量分布の結果を得た。

4.Conclusions
本報告では、本システムにより、フィールドワークで粒度分布を測定する新しいアプリケーションについて紹介する。