17:00 〜 17:15
[MIS34-20] 大阪湾堆積物コアを用いた最終間氷期の高精度気候復元
キーワード:最終間氷期, 古気候, 大阪湾, 花粉分析
完新世より海水準が高く温暖であると考えられる最終間氷期について、数百年の解像度をもつ気候変動の復元をめざして、大阪湾1700mコアの花粉分析を行った。花粉分析は、各試料につき樹木花粉化石400個以上を目安に検鏡を行った。同コアでは、最終間氷期の海成層は深度73.6mから61.4mまで続き、珪藻化石群集データから深度69.5mに最高海水準が位置することが分かっている。同コアの海洋酸素同位体ステージ(MIS) 17対応層より上層の9層準の年代制約を使って計算した平均堆積速度は54.8cm/ka(R=0.999)である。この平均堆積速度を使い、同海成層における海水準のピークをRohling et al. (2008)が示す海面ピーク年代に合わせた線形年代モデルによれば、海成層の年代は130ka~108kaとなり、MIS 5eの年代幅とほぼ一致する。以下、この年代モデルを使って気候変化を説明する。
130ka以前は、トウヒ属が多産し、MIS 6の寒冷な気候をあらわす。130kaから125kaにおいて、ブナ属の割合が増加し、気候が温暖化している。同時期に珪藻の外洋指標種であるThalassiosira属の割合が増加していくことから、氷期後の急激な海面上昇期にあたる。125kaから115kaには、ブナ属が減少に転じ温暖の指標であるコナラ属アカガシ亜属を含むコナラ属が増加しており、気候は更に温暖化し、最高海面からわずかに遅れて最温暖期を迎える。113kaから海成層の上限である108kaにかけては、降水量の指標となるスギ属・コウヤマキ属・イチイ科-イヌガヤ科-ヒノキ科といった針葉樹の割合が増加していき、気候が湿潤化したことを示す。これより、最終間氷期の終わり頃は湿潤な気候であったと言える。また、最終間氷期の期間である130kaから108kaの間、亜熱帯の樹木であるサルスベリ属がほぼ全ての層準で産出した。108kaからは降水量の指標となる針葉樹の割合が更に増加しており、気候がより湿潤化したことを示す。
最終間氷期の気候は、海面上昇とともに気温が上昇し、最高海面期からわずかに遅れて最温暖期を迎える。その後降水が増加し、MIS 5eは終了する。これら最終間氷期の気候変動は琵琶湖から報告されている気候変化と調和的である。
130ka以前は、トウヒ属が多産し、MIS 6の寒冷な気候をあらわす。130kaから125kaにおいて、ブナ属の割合が増加し、気候が温暖化している。同時期に珪藻の外洋指標種であるThalassiosira属の割合が増加していくことから、氷期後の急激な海面上昇期にあたる。125kaから115kaには、ブナ属が減少に転じ温暖の指標であるコナラ属アカガシ亜属を含むコナラ属が増加しており、気候は更に温暖化し、最高海面からわずかに遅れて最温暖期を迎える。113kaから海成層の上限である108kaにかけては、降水量の指標となるスギ属・コウヤマキ属・イチイ科-イヌガヤ科-ヒノキ科といった針葉樹の割合が増加していき、気候が湿潤化したことを示す。これより、最終間氷期の終わり頃は湿潤な気候であったと言える。また、最終間氷期の期間である130kaから108kaの間、亜熱帯の樹木であるサルスベリ属がほぼ全ての層準で産出した。108kaからは降水量の指標となる針葉樹の割合が更に増加しており、気候がより湿潤化したことを示す。
最終間氷期の気候は、海面上昇とともに気温が上昇し、最高海面期からわずかに遅れて最温暖期を迎える。その後降水が増加し、MIS 5eは終了する。これら最終間氷期の気候変動は琵琶湖から報告されている気候変化と調和的である。