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[ACG30-P01] 二酸化炭素安定同位体比連続観測による冷温帯針葉樹林における炭素循環の推定
キーワード:森林, 炭素循環, 同位体, レーザー分光, 二酸化炭素, 呼吸
気候変動に対して森林の持つ炭素貯留機能が発揮されることが望まれている。さまざまな植生において、炭素吸収量が見積られているものの、森林においてはそのほかの植生と異なり、機能ごとに分化した複雑な構造を持つため、炭素吸収量を推定することは容易ではない。二酸化炭素の炭素安定同位体比の濃度やフラックスの測定により生態系の生理的プロセスやその環境変動に対する応答を知ることができる。本研究では、冷温帯針葉樹林(Asia Flux site code:FJY)において12CO2と13CO2の樹冠内外の濃度と自動開閉閉鎖循環式チャンバーを使って土壌からの二酸化炭素安定同位体比の連続測定を可変波長ダイオードレーザー分光計(TDLS: G2101i, Picarro Inc.)を用いて行った。大気の二酸化炭素安定同位体比δ13Cは大気CO2濃度に応じて変動していた。土壌から放出される二酸化炭素の安定同位体比(δ13CRs)の季節変動はキーリングプロットによる推定が非常にばらつき検出することができなかった。
樹木成木における炭素輸送プロセスを解明することを目的として、2012年9月、12月、2013年7月に同試験地にてアカマツ成木(Pinus densiflora)の13Cパルスラベリング実験を行った。対象樹木は樹高約20.5mのアカマツであり、ビニール製のチャンバーで樹冠を覆い、ラベリングチャンバーに13CO2を注入し、光合成させることでラベリングを行った。ラベリングチャンバー内の12CO2と13CO2の濃度をTDLSで測定することにより、取り込まれた炭素量を計算した。閉鎖循環型のチャンバーを幹4箇所(高さ15.5, 11.1, 7.3 and 3.8m)に設置し、幹からの炭素放出量を測定した。炭素の移動速度はそれぞれの幹チャンバーへの13CO2のパルス到着時間から推定した。取り込まれた炭素の放出パターンは、冬季においては他の時期と大きく異なっていた。炭素移動速度は0.04m/hrから0.24m/hrであり、比較的冬季に遅かった。幹から放出された炭素量は吸収した炭素の14-20%であった。秋・夏季では幹下部での消費が多く、冬季は比較的上部での消費が多かった。
樹木成木における炭素輸送プロセスを解明することを目的として、2012年9月、12月、2013年7月に同試験地にてアカマツ成木(Pinus densiflora)の13Cパルスラベリング実験を行った。対象樹木は樹高約20.5mのアカマツであり、ビニール製のチャンバーで樹冠を覆い、ラベリングチャンバーに13CO2を注入し、光合成させることでラベリングを行った。ラベリングチャンバー内の12CO2と13CO2の濃度をTDLSで測定することにより、取り込まれた炭素量を計算した。閉鎖循環型のチャンバーを幹4箇所(高さ15.5, 11.1, 7.3 and 3.8m)に設置し、幹からの炭素放出量を測定した。炭素の移動速度はそれぞれの幹チャンバーへの13CO2のパルス到着時間から推定した。取り込まれた炭素の放出パターンは、冬季においては他の時期と大きく異なっていた。炭素移動速度は0.04m/hrから0.24m/hrであり、比較的冬季に遅かった。幹から放出された炭素量は吸収した炭素の14-20%であった。秋・夏季では幹下部での消費が多く、冬季は比較的上部での消費が多かった。