17:30 〜 17:33
[SSS28-P01] DEMから作成する変動地形判読のためのステレオ等高線図
ポスター講演3分口頭発表枠
キーワード:ステレオ等高線図, ステレオ傾斜量図, DEM, 地形解析, 変動地形
航空計測データや衛星観測データなどから得られるDEMデータの拡充が急速に進んでいる.それらのDEMを可視化して詳細な変動地形判読を直感的かつ効率的に行えるよう,等高線を主題とするステレオ地形解析図(ステレオ等高線図)を開発した.このステレオ等高線図は沖積面や段丘面などの堆積地形面の表現に優れており,尾根谷線・低崖などの線状地形と微細な凹凸地形の表現に優れているステレオ傾斜量図を併用することにより,変動地形のみならず様々な地形の判読に用いることができる.
ステレオ等高線図の作成は2段階からなり,最初に,2次元でも有効に利用できる品質の地形解析図を作成し,次いで,地形解析図を数値標高モデルの上にテクスチャーマッピングして,アナグリフ画像を作成する.DEM可視化ソフトであるSimpleDEMViewerを使用したステレオ等高線図の作成手法は以下の通りである.
2次元地形解析図は,DEMから作成する細密な等高線図を基本として,標高段彩図,傾斜量図および傾斜陰影図を透過させて重ねた図からなる.等高線図は,DEMの精度と対象とする地形の特性に応じて,等高線間隔と描画する地形図画像のサイズを調整する必要がある.たとえば,等高線間隔をDEMのメッシュ間隔と等しい間隔とした場合,DEMと同間隔の画素からなる画像では理論的には傾斜約26度以下の斜面について描画が可能である.一方,DEMの高さ精度を十分に生かしたより細かい間隔の等高線を急傾斜地まで描画するためには,画像のサイズを大きくする必要がある.このため,多様な傾斜を持つ地域については,急傾斜地域を含む全域を描画するための等高線間隔の大きな図と,緩傾斜地域に焦点を当てた等高線間隔の小さい図を併せて作成することが効率的である.標高段彩図は,色相関に基づいた配色に,微地形を強調できる濃淡の縞模様を組み合わせることによってダイナミックレンジを大きくすることができる.また,グレースケールの傾斜量図を透過して重ねることにより,等高線では表現できない微細な地形の凹凸を描画し,標高段彩色をアナグリフに適した淡い色に抑えることができる.さらに,傾斜陰影図を透過して重ねることにより,2次元地形解析図の擬似的な立体感を高めることができる.
アナグリフ方式による立体視地形解析図は,広範囲の立体視に適するとともに,他のGISソフト等に画像として取り込む場合において親和性が高い.立体視画像の等高線を見やすくするには,2次元画像の1.5倍程度のサイズでアナグリフ画像を書き出すとよい.
ステレオ等高線図に描画される等間隔の等高線は,地形の標高を表示するとともに,その間隔によって一次微分量である傾斜を,間隔の変化と形状によって二次微分量である曲率を視覚的に表示できる優れた地形解析手法である.これに標高段彩を重ねることは,2次元地形図に擬似的な立体感を与えるとともに広範囲の地形を直感的に判読させる手法として伝統的に用いられてきた.さらに,それらを併せて立体視することにより,極めて直感的かつ効率的に広範囲の地形を詳細に判読することができる.ステレオ等高線図では,変位規準となる各種の堆積地形面の判読が容易であり,地形発達史の理解の上に変動地形を抽出することができる.また,細密な等高線を判読することにより,地形を定量的に判読することができる.
しかし,ステレオ等高線図では,等高線間隔よりも小さい起伏や平面形状をもつ微地形の表現は困難であり,微地形強調の標高段彩との組み合わせによる表現にも限界がある.これを補うために,グレースケールの傾斜量図に重点をおいたステレオ地形解析図を判読に併用することは,尾根・谷線や鞍部,崖地形などの視覚的抽出にも効果的である.傾斜量図は,段丘面などの広がりを持つ堆積地形面の表現に適さないこと,緩傾斜地では人工構築物やデータのノイズになどによる局所的で微細な高低が判読を妨げることなどの欠点をもつが,それらは等高線図を併用することによって解消できる.
図:基盤地図情報数値標高モデル(5mメッシュ)を使用した長町-利府線断層帯の変動地形を示すステレオ等高線図.矢印は,累積変形する段丘面群上の撓曲崖基部の位置を示す.矢印は,累積変形する段丘面群上の撓曲崖基部の位置を示す.等高線間隔は1m.2次元画像をDEMのメッシュサイズの2倍,アナグリフ画像を同3倍のスケールで作成した.
ステレオ等高線図の作成は2段階からなり,最初に,2次元でも有効に利用できる品質の地形解析図を作成し,次いで,地形解析図を数値標高モデルの上にテクスチャーマッピングして,アナグリフ画像を作成する.DEM可視化ソフトであるSimpleDEMViewerを使用したステレオ等高線図の作成手法は以下の通りである.
2次元地形解析図は,DEMから作成する細密な等高線図を基本として,標高段彩図,傾斜量図および傾斜陰影図を透過させて重ねた図からなる.等高線図は,DEMの精度と対象とする地形の特性に応じて,等高線間隔と描画する地形図画像のサイズを調整する必要がある.たとえば,等高線間隔をDEMのメッシュ間隔と等しい間隔とした場合,DEMと同間隔の画素からなる画像では理論的には傾斜約26度以下の斜面について描画が可能である.一方,DEMの高さ精度を十分に生かしたより細かい間隔の等高線を急傾斜地まで描画するためには,画像のサイズを大きくする必要がある.このため,多様な傾斜を持つ地域については,急傾斜地域を含む全域を描画するための等高線間隔の大きな図と,緩傾斜地域に焦点を当てた等高線間隔の小さい図を併せて作成することが効率的である.標高段彩図は,色相関に基づいた配色に,微地形を強調できる濃淡の縞模様を組み合わせることによってダイナミックレンジを大きくすることができる.また,グレースケールの傾斜量図を透過して重ねることにより,等高線では表現できない微細な地形の凹凸を描画し,標高段彩色をアナグリフに適した淡い色に抑えることができる.さらに,傾斜陰影図を透過して重ねることにより,2次元地形解析図の擬似的な立体感を高めることができる.
アナグリフ方式による立体視地形解析図は,広範囲の立体視に適するとともに,他のGISソフト等に画像として取り込む場合において親和性が高い.立体視画像の等高線を見やすくするには,2次元画像の1.5倍程度のサイズでアナグリフ画像を書き出すとよい.
ステレオ等高線図に描画される等間隔の等高線は,地形の標高を表示するとともに,その間隔によって一次微分量である傾斜を,間隔の変化と形状によって二次微分量である曲率を視覚的に表示できる優れた地形解析手法である.これに標高段彩を重ねることは,2次元地形図に擬似的な立体感を与えるとともに広範囲の地形を直感的に判読させる手法として伝統的に用いられてきた.さらに,それらを併せて立体視することにより,極めて直感的かつ効率的に広範囲の地形を詳細に判読することができる.ステレオ等高線図では,変位規準となる各種の堆積地形面の判読が容易であり,地形発達史の理解の上に変動地形を抽出することができる.また,細密な等高線を判読することにより,地形を定量的に判読することができる.
しかし,ステレオ等高線図では,等高線間隔よりも小さい起伏や平面形状をもつ微地形の表現は困難であり,微地形強調の標高段彩との組み合わせによる表現にも限界がある.これを補うために,グレースケールの傾斜量図に重点をおいたステレオ地形解析図を判読に併用することは,尾根・谷線や鞍部,崖地形などの視覚的抽出にも効果的である.傾斜量図は,段丘面などの広がりを持つ堆積地形面の表現に適さないこと,緩傾斜地では人工構築物やデータのノイズになどによる局所的で微細な高低が判読を妨げることなどの欠点をもつが,それらは等高線図を併用することによって解消できる.
図:基盤地図情報数値標高モデル(5mメッシュ)を使用した長町-利府線断層帯の変動地形を示すステレオ等高線図.矢印は,累積変形する段丘面群上の撓曲崖基部の位置を示す.矢印は,累積変形する段丘面群上の撓曲崖基部の位置を示す.等高線間隔は1m.2次元画像をDEMのメッシュサイズの2倍,アナグリフ画像を同3倍のスケールで作成した.