日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS26] 海底地すべりとその関連現象

2015年5月26日(火) 17:15 〜 18:00 203 (2F)

コンビーナ:*北村 有迅(鹿児島大学大学院理工学研究科地球環境科学専攻)、大坪 誠(産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門)、座長:北村 有迅(鹿児島大学大学院理工学研究科地球環境科学専攻)

17:55 〜 17:58

[HDS26-P01] 奄美大島東方に見られる海底斜面崩落地形について

ポスター講演3分口頭発表枠

*松本 剛1 (1.琉球大学理学部)

キーワード:奄美大島, 琉球列島, 斜面崩落

奄美諸島東方の南西諸島海溝に向かう斜面の水深1,000~4,000mの海域には、崩落痕と見られる地形が発達している。中琉球・南琉球域には、沖縄トラフのリフティングを反映して、島弧胴切り型活断層が多く発達しているが、これらの北限は徳之島付近までとなっており、奄美大島付近にも島弧に直交する向きの直線的な海底谷が見られるものの、これについては活断層とは認定されておらず、陸上にも認定された活断層は無い(「日本の活断層図」による)。また、前弧側のこの水深の海域には、メタンハイドレートの存在の可能性があり、それに伴う海底の崩落の可能性についても検討する必要がある。一方、海底の崩落は津波の原因ともなるため、土砂の崩落量から想定される津波高の推定が必須となって来る。当該域の広域テクトニクスとの因果関係についても考察する必要がある。以上の目的で、2013年・2014年の2回に亘って、長崎大学の練習船「長崎丸」を用い、各1週間の海底地形・表層構造調査を実施した。
サーベイ海域は、27°10.0’N, 128°35.0’E, 26°30.0’N, 129°30.0’E, 28°20.0’N, 131°15.0’E, 29°00.0’N, 130°20.0’Eで囲まれる海域(但し喜界島周辺は除く)、水深は概ね1,000~4,000mの範囲とした。サーベイ海域内では、奄美大島南東方の崩落域では北西・南東方向の長さ30マイルの測線6本、また、奄美大島北東方の海底谷の北側斜面の麓部でも土砂の崩落痕と見られる地形が存在するため、この海域では南北方向の長さ15マイルの測線を4本設けた。測線上では6ノット航走とし、3.5kHzサブボトムプロファイラー(SBP)による連続観測を行った。また、SBPの記録をもとに、2箇所でオケアンサンプラーによる底質採取を行った。
2013年の航海日程は、5月31日那覇発、6月6日那覇着であった。途中、奄美大島西方の漁業実習地点(29°00.0’N, 126°30.0’E)でトロール実習を行い、6月2~3日、及び、6月4~5日にかけて、SBP調査及びサンプリングを行なった。また、2014年の航海日程は、5月30日那覇発、6月5日那覇着であった。この間、6月1日早朝~6月2日(月)夕刻の間、SBP調査を行なった。
奄美大島南東方は、水深1,000m付近までは緩やかな斜面となっているが、それ以深の、同島南東方約40nmに位置する27°40’N、129°50’Eを中心とした面積約600km2、深さ約600mの凹地の箇所は、マルチナロービーム地形図でも起伏に富んでいる。「長崎丸」によるSBPによれば、比高200~300m程度、直径2~4km程度の起伏の連続であった。また、奄美大島北東方の海底谷の北側斜面の麓部では、これよりも小規模な崩落痕が多数見られた。