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[HCG36-05] 閉鎖生態系における樹木利用の可能性ーモデル樹木({i} Prunus{/i} sp.)を用いた取り組みと提案
キーワード:閉鎖生態系, コスモボン, 宇宙環境, 過酷環境, 樹木利用
地球上に生育する多種多様な生物は、長い年月をかけた地球進化の過程の中で、相互に影響を受けあい進化し、生存に重要な機能を獲得し、維持・完成し、また新たに進化・変化してきた。宇宙や深海・あるいは砂漠などの過酷環境を想定して人為的閉鎖生態系の設計を試みるとき、限られた種数の生物自身のシステムや環境応答現象および相互作用の変化や代謝と更に大気を含む物質循環の詳細な情報蓄積は、今後の閉鎖生態系関連研究の発展に重要となる。我々は、これまでに閉鎖生態系内の生物を介した物質循環で極めて高い貢献が期待できる樹木研究を進めてきた。樹木は、閉鎖型生態系となる有人宇宙活動の生活の場で、草本と同様に光合成による酸素や二酸化炭素の循環に貢献が可能な生物である。樹木の特徴は、草本と比較してはるかに多量な炭素源を長期に木部に取り込むことができることや、材を生活の道具として利用することができることおよび加工することで更に利用価値の高い道具や細工用具などとして利用できることなどがあげられる。我々は、昨年、多量の実生株から多量の宇宙環境を含む過酷閉鎖環境を想定した実験のための材料となる極小盆栽(CosmoBon)を作出した。宇宙環境における有人活動は、その場は自ずと閉鎖生態系となる。このような環境に特化した樹木研究がなされることが必要である。宇宙で樹木が実際に利用できることの検証実験を提案しその結果の一部を報告し考察する。