日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM26] 宇宙プラズマ理論・シミュレーション

2015年5月24日(日) 14:15 〜 16:00 302 (3F)

コンビーナ:*梅田 隆行(名古屋大学 太陽地球環境研究所)、天野 孝伸(東京大学 地球惑星科学専攻)、成行 泰裕(富山大学人間発達科学部)、杉山 徹(独立行政法人海洋研究開発機構 地球情報基盤センター)、中村 匡(福井県立大学)、座長:成行 泰裕(富山大学人間発達科学部)、梅田 隆行(名古屋大学 太陽地球環境研究所)

15:00 〜 15:15

[PEM26-18] 惑星間空間における宇宙機能動帯電の数値シミュレーション

*星 賢人1村中 崇信2小嶋 浩嗣3山川 宏3 (1.京都大学工学研究科電気工学専攻、2.中京大学工学部電気電子工学科、3.京都大学生存圏研究所)

キーワード:宇宙機帯電, 太陽風, 帯電セイル

一般に宇宙機における帯電現象は, 放電の危険性や観測への支障につながるとして, 回避すべき現象と捉えられている.
しかし近年, 宇宙機を能動的に帯電させ, 帯電した宇宙機に働く電磁気力を用いて軌道制御を行う, 新たな推進方式が提唱されている.
帯電制御のためにイオンまたは電子の放出を行い, 電場・磁場との相互作用によって推力を得るシステムは, 推進剤を噴出して推力を得る従来の宇宙推進システムとは全く異なった推進方式となる.
電子放出の場合は電力のみ, イオン放出の場合は少量のイオン源と電力のみで推力を発生できるため, 推進剤が不要となり, 大幅な軽量化が期待できる.
さらに, 想定されている荷電粒子エミッタは数kg以下で従来のエンジンに比べて非常に軽量であるため, 軽量・長寿命な小型衛星のための推進機関と成り得る.
本発表では, 特に惑星間空間における電磁気力を用いた宇宙機推進について, その能動帯電性能を評価するため, 太陽風環境における宇宙機からの荷電粒子ビーム放出を模擬した三次元Full PICシミュレーションを行った結果について報告する.
特に, 太陽風速度, 太陽風流入とビーム放出方向の依存性, 光電子による影響による宇宙機帯電電位の変化について, 惑星間空間における自然帯電を解析した先行研究との比較も含めて, 評価を行う.
また, 惑星間空間における応用例として提案されている帯電セイルについて解析した結果についても述べる.
帯電セイルとは, 帯電した長大なテザーを帆のように伸ばすことで太陽風中のプロトンの運動量をうけ、推力とする推進方式である.
本発表では, 帯電テザーの長さや太さによる帯電特性の変化について解析し, その推力特性へ与える影響について検討する.