16:15 〜 16:30
[ACC29-08] 異なる測定原理に基づく極域雪氷試料中固体微粒子の分析結果の比較
キーワード:固体微粒子, 分析法比較, 極地雪氷
古気候・古環境復元を目的として、これまで多くの研究者によってアイスコアに含まれる固体微粒子の分析が実施され、固体微粒子の粒径分布やフラックスの時空間変動について議論されてきた。しかし、固体微粒子の粒径の定義は測定原理によって異なっており、異なる分析装置によるデータを単純に比較することはできない。固体微粒子の体積は粒径に依存するため、体積を直接測定する原理の固体微粒子分析装置を用いない場合、フラックス(積雪量、固体微粒子の体積濃度、固体微粒子の密度の積として計算される)は、粒径の定義に依存する。このため、異なる原理の分析装置を用いた結果を比較する際には注意を要する。本研究では、微粒子の体積を直接測定するCoulter Multsizer 4、レーザー光の遮蔽を測定するKlotz社のAbakus、レーザー光の散乱を測定するMet One Model 211という3種類の固体微粒子分析装置の比較を行なった。また、その結果を、最近導入した画像処理法に基づく固体微粒子分析装置JASCO IF-200nanoの結果と比較した。その結果、AbakusとMet One Model 211は、固体微粒子の形状が球からずれるとCoulter Multisizer 4 と異なる結果を与えることが分かった。
本研究により、南極ドームふじコアにおいては、氷期に球形に近い微粒子が多く、間氷期には球形からはずれた形状の微粒子が多いことが示唆された。また、異なる分析装置によって得られた粒径分布やフラックスのデータを比較する際は、従来考えられていた以上に注意が必要であることが明らかになった。
本研究により、南極ドームふじコアにおいては、氷期に球形に近い微粒子が多く、間氷期には球形からはずれた形状の微粒子が多いことが示唆された。また、異なる分析装置によって得られた粒径分布やフラックスのデータを比較する際は、従来考えられていた以上に注意が必要であることが明らかになった。