18:15 〜 19:30
[SGL40-P15] 20万分の1大分地域の地質
キーワード:地域地質, 三波川変成岩類, 大野川層群, 白亜紀付加体, 大分層群, 阿蘇カルデラ
20万分の1地質図幅「大分」は,独立行政法人産業技術総合研究所地質調査総合センターが作成する20万分の1地質図幅の1つである.初版の20万分の1地質図幅「大分」発行後,本地域では多数の5万分の1地質図や火山地質図などが刊行された.また,本地域内では,地熱資源探査や金属鉱床探査も多数実施されてきた.これら新しい知見をもとに,今回全面的な改訂作業を実施し,20万分の1地質図幅「大分」(第2版)として刊行するものである.
本地域は地質学的には,琉球弧と西南日本弧の会合部に位置する.本地域の地質は日本列島の縮図と言えるほど,多種多様な地質体が分布する.本地域南東側では,先新第三系の付加体や正常堆積物,変成岩類,花崗岩類が帯状に配列し,それらを中新世の深成岩類が貫いている.本地域北西側では,中新世以降の火山岩類や堆積岩類が広がっている.
本地域の臼杵-八代構造線の北西側の先古第三系は,朝地変成岩類,ペルム紀付加体,白亜紀深成岩類,三波川変成岩類と大野川層群からなる.一方,臼杵-八代構造線の南東側は,臼杵-八代構造線に沿って臼杵川石英閃緑岩と生ノ原変成岩類が分布し,その南縁に田野層群などの白亜系が分布する.さらにその南側に“秩父帯”のジュラ紀-前期白亜紀付加体,“四万十帯”の白亜紀の付加体が発達し,南縁部に始新世北川層群が分布する.このうちジュラ紀-前期白亜紀付加体はいわゆる“黒瀬川帯”により構造的に覆われていることが知られている.“黒瀬川帯”は, 1)ペルム紀付加体,2)前期古生代の超苦鉄質岩類,三国圧砕花崗岩類,本匠変成岩類と後期三畳紀-前期ジュラ紀の低温高圧型変成岩,3)シルル紀-前期白亜紀正常堆積物からなる.本地域でも「三重町」,「竹田」,「三田井」,「高森」地域に,これらの地質体が広く分布する.特に大崩山コールドロン内に広く分布するのが特徴的である.本図幅では,これらの地質体に“黒瀬川帯”の呼称は用いず,時代と岩相に基づいて記述する.また,付加体やそれらを構造的に覆う地質体が水平に近い構造をもつため,地質図では分布域が帯状をなさないことから,“秩父帯”,“四万十帯”の名称は極力避けた.また本図幅では付加体とそれを基盤とする被覆層を区別した.なおコンプレックス,ユニット,層,層群などの名称は原記載に従い,統一を図っていない.
本地域の先新第三系を不整合に覆って,中新世の礫岩を主体とする見立層が分布する.大崩山火山深成複合岩体は,噴出岩(祖母山火山岩類)と深部に貫入した花崗岩類などから構成され,コールドロンを形成している.大野火山岩類は,臼杵-八代構造線の北側で先古第三系などを不整合に覆う火山岩類である.
中部九州を東西に横断する別府湾から島原半島にかけての帯状の地域には,新第三紀以降の火山岩が分布し重力の低異常域と一致する(別府-島原地溝).別府-島原地溝の東部域は,古い火山岩が外側に,若い火山岩が内側に分布する帯状配列を示し,豊肥火山地域と呼ばれる.本地域では北東から南西方向に,鶴見,九重,阿蘇と活火山が配列し火山フロントを形成している.本地域は,別府-島原地溝と火山フロントが交差する場所にあり,豊肥火山地域の主要部分が含まれ,鮮新世末期以降の多数の火山体が密集している.
これまでに本地域の火山岩類からは,多数の年代測定値が報告されている.今回新たにK-Ar年代測定を多数行い,時代未詳の火山岩体の活動年代を明らかにした.この成果をもとに,時間的,空間的に近い岩体群を火山群としてグルーピングし,本地域を構成する火山岩類を20余りの火山群(あるいは火山)に区分した.
大野川や大分川などの河川沿いを中心にして,第四紀の堆積物が点在している.特に大分平野周辺と玖珠盆地には前期-中期更新世の地層がまとまって分布していて,複数の地層から構成されている.これらのうちのいくつかは大規模火砕流堆積物や溶岩類との関係が明らかである.本地域の北部には別府-万年山断層帯と呼ばれる活断層帯があり,別府湾内を含めて多数の正断層が分布している.
本地域の鉱床として,特に祖母山周辺の珪長質岩脈に胚胎する錫鉱床群は著名である(尾平,見立,土呂久鉱山など).非金属資源として津久見市周辺の石灰石,ドロマイト鉱床などがある.
本地域の重力異常は,大局的には北東から中央に向かって帯状に正異常域が分布し,それを取り囲むように北部と西部,及び南部に負異常域が分布している.北東から南西にかけての帯状の正異常域は,北東域に露出する三波川変成岩類,中央部に露出する朝地変成岩類に対応して分布し,0〜10mgal程度を示す.また,正異常の西方延長には比較的弱い負異常域(-10〜-15mgal程度)が分布する.
本地域は地質学的には,琉球弧と西南日本弧の会合部に位置する.本地域の地質は日本列島の縮図と言えるほど,多種多様な地質体が分布する.本地域南東側では,先新第三系の付加体や正常堆積物,変成岩類,花崗岩類が帯状に配列し,それらを中新世の深成岩類が貫いている.本地域北西側では,中新世以降の火山岩類や堆積岩類が広がっている.
本地域の臼杵-八代構造線の北西側の先古第三系は,朝地変成岩類,ペルム紀付加体,白亜紀深成岩類,三波川変成岩類と大野川層群からなる.一方,臼杵-八代構造線の南東側は,臼杵-八代構造線に沿って臼杵川石英閃緑岩と生ノ原変成岩類が分布し,その南縁に田野層群などの白亜系が分布する.さらにその南側に“秩父帯”のジュラ紀-前期白亜紀付加体,“四万十帯”の白亜紀の付加体が発達し,南縁部に始新世北川層群が分布する.このうちジュラ紀-前期白亜紀付加体はいわゆる“黒瀬川帯”により構造的に覆われていることが知られている.“黒瀬川帯”は, 1)ペルム紀付加体,2)前期古生代の超苦鉄質岩類,三国圧砕花崗岩類,本匠変成岩類と後期三畳紀-前期ジュラ紀の低温高圧型変成岩,3)シルル紀-前期白亜紀正常堆積物からなる.本地域でも「三重町」,「竹田」,「三田井」,「高森」地域に,これらの地質体が広く分布する.特に大崩山コールドロン内に広く分布するのが特徴的である.本図幅では,これらの地質体に“黒瀬川帯”の呼称は用いず,時代と岩相に基づいて記述する.また,付加体やそれらを構造的に覆う地質体が水平に近い構造をもつため,地質図では分布域が帯状をなさないことから,“秩父帯”,“四万十帯”の名称は極力避けた.また本図幅では付加体とそれを基盤とする被覆層を区別した.なおコンプレックス,ユニット,層,層群などの名称は原記載に従い,統一を図っていない.
本地域の先新第三系を不整合に覆って,中新世の礫岩を主体とする見立層が分布する.大崩山火山深成複合岩体は,噴出岩(祖母山火山岩類)と深部に貫入した花崗岩類などから構成され,コールドロンを形成している.大野火山岩類は,臼杵-八代構造線の北側で先古第三系などを不整合に覆う火山岩類である.
中部九州を東西に横断する別府湾から島原半島にかけての帯状の地域には,新第三紀以降の火山岩が分布し重力の低異常域と一致する(別府-島原地溝).別府-島原地溝の東部域は,古い火山岩が外側に,若い火山岩が内側に分布する帯状配列を示し,豊肥火山地域と呼ばれる.本地域では北東から南西方向に,鶴見,九重,阿蘇と活火山が配列し火山フロントを形成している.本地域は,別府-島原地溝と火山フロントが交差する場所にあり,豊肥火山地域の主要部分が含まれ,鮮新世末期以降の多数の火山体が密集している.
これまでに本地域の火山岩類からは,多数の年代測定値が報告されている.今回新たにK-Ar年代測定を多数行い,時代未詳の火山岩体の活動年代を明らかにした.この成果をもとに,時間的,空間的に近い岩体群を火山群としてグルーピングし,本地域を構成する火山岩類を20余りの火山群(あるいは火山)に区分した.
大野川や大分川などの河川沿いを中心にして,第四紀の堆積物が点在している.特に大分平野周辺と玖珠盆地には前期-中期更新世の地層がまとまって分布していて,複数の地層から構成されている.これらのうちのいくつかは大規模火砕流堆積物や溶岩類との関係が明らかである.本地域の北部には別府-万年山断層帯と呼ばれる活断層帯があり,別府湾内を含めて多数の正断層が分布している.
本地域の鉱床として,特に祖母山周辺の珪長質岩脈に胚胎する錫鉱床群は著名である(尾平,見立,土呂久鉱山など).非金属資源として津久見市周辺の石灰石,ドロマイト鉱床などがある.
本地域の重力異常は,大局的には北東から中央に向かって帯状に正異常域が分布し,それを取り囲むように北部と西部,及び南部に負異常域が分布している.北東から南西にかけての帯状の正異常域は,北東域に露出する三波川変成岩類,中央部に露出する朝地変成岩類に対応して分布し,0〜10mgal程度を示す.また,正異常の西方延長には比較的弱い負異常域(-10〜-15mgal程度)が分布する.