日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 U (ユニオン) » ユニオン

[U-05] Future Earth - 持続可能な地球へ向けた統合的研究

2015年5月25日(月) 11:00 〜 12:45 103 (1F)

コンビーナ:*氷見山 幸夫(北海道教育大学教育学部)、中島 映至(東京大学大気海洋研究所)、谷口 真人(総合地球環境学研究所)、大谷 栄治(東北大学大学院理学研究科地学専攻)、座長:鈴木 康弘(名古屋大学)

11:25 〜 11:45

[U05-06] Future Earthと火山学

*中田 節也1 (1.東京大学地震研究所)

キーワード:フューチャーアース, 火山学, 社会との関わり, 学際研究, 超学際研究

日本列島のような変動帯に住む限りは自然の脅威から逃れることはできない。これからも発生し続ける自然の脅威といかに共存して,より安全で住みやすい社会を持続できるかは,地球科学の発展とその貢献が大きな鍵を握ると考えられる。すなわち,自然の脅威の将来予測は地球科学の宿命であるといえる。
 自然の脅威の現象解明だけでは自然災害の軽減には直接はつながらない。これは2014年9月27日の御嶽山の水蒸気噴火で如実に示された。自然の脅威が規模的にも小さなものであっても,悪い条件が整えば大きな災害となりうる。かりに,観測機器をどれだけ密に設置してあったとしても,水蒸気爆発のような小噴火の予測には限度がある。一方で,我々研究者が未経験の低頻度で大規模な自然の脅威についても,その発生メカニズムの理解を含めて,予測に学際的に挑戦する必要があるのも事実である。富士山の噴火やカルデラ噴火はこのような部類に入るが,低頻度が故にそれらに社会は備えてきていない。
 発生頻度に特にかかわりなく,条件が整えば大きな損失につながるのが自然災害である。そのような脅威に接する機会のある人々が災害を意識し,それに備えることがもっとも重要である。地球科学はそれに備えに対する知恵を社会にさずける働きを様々なレベルで行うことができる。我々の既知の知識を持って効果的な啓発活動や情報発信するだけでも,災害への備えはできる。さらなる地球科学観測によって現象理解が進めば,それを社会に効果的に還元することによって,社会が自然災害から逃れられる可能性がより増加するだろう。
 日本火山学会では,御嶽山の火山災害を受けて,秋季大会の折に火山災害委員会を中心に,災害に至った問題点や課題を検討し,将来の類似の災害を軽減するために,火山学的に貢献できることは何かについて議論を進めている。また,低頻度大規模噴火に関連して火山災害影響評価が差し迫った問題となっている原子力発電所の再稼働に関連して原子力問題検討委員会を設置し,社会へ火山学的な立場から提言を行った。さらに,Future Earthと共通した理念を持つジオパーク活動を推進するため支援委員会を設置し,現場での防災教育支援を行っている。このように,Future Earthの目指すところは,火山学に絡む課題に関して社会と恊働しながら超学際的に進める点で同じである。