日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS25] 湿潤変動帯の地質災害とその前兆

2015年5月27日(水) 12:00 〜 12:45 101A (1F)

コンビーナ:*千木良 雅弘(京都大学防災研究所)、小嶋 智(岐阜大学工学部社会基盤工学科)、八木 浩司(山形大学地域教育文化学部)、内田 太郎(国土技術政策総合研究所)、座長:飯田 智之(防災科学技術研究所)、小林 浩(朝日航洋株式会社 計測コンサルタント部)

12:24 〜 12:27

[HDS25-P10] 地すべりにみられる速度強化的性質

ポスター講演3分口頭発表枠

*岳 孝太郎1坂口 有人1佐竹 伸二2 (1.山口大学、2.復建調査設計)

キーワード:地すべり, 速度強化

土石流と異なり,1日に数cm程度と比較的ゆっくり,そして繰り返し活動する地すべりが多数存在する.特に社会生活に支障を与える地すべりに対しては動態観測と対策工事が行われている.この地すべり地帯の現位置観測データには,地すべりのメカニズム解明に役立つ有益な情報が残されているに違いない.本研究は,地すべり時の現位置観測データからすべり挙動の詳細を明らかにした.
研究対象とする地すべり地域は広島県に位置する.基盤となる泥岩とそれを被覆する崖錐堆積物の境界の泥岩側にすべり面は産し,その厚さは数cm程度と局所化している.動態観測は,地下水位計,パイプ歪計,地盤伸縮計が行われた.パイプ歪計から1時間当たりの変位量を求め,歪速度を算出した.この地すべりは,降雨により地下水位が上昇しピークを過ぎてから変位を開始し,地下水位が元のレベルにまで低下しても暫くは変位を続けるという特徴がある.このことから,地下水位が地すべりのトリガーとなるが,それが変位を完全に支配していないことを示す.すべり中の歪速度は,加速中は速度の上昇とともに加速度が低下し,減速中は速度の低下とともに加速度が低下する傾向がみられる.これらは,歪速度の上昇に伴う剪断強度の増加(速度強化)で説明ができる.