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[HDS25-07] 日本列島における斜面崩壊発生と豪雨の再現期間との関係
キーワード:斜面崩壊, 規模-頻度, 豪雨の再現期間, 解析雨量
湿潤変動帯に位置する日本列島では、降雨に起因する斜面崩壊が頻繁に発生している。このような斜面崩壊の発生と雨量との関係は、解析雨量(レーダー・アメダス解析雨量、気象庁)を用いることで精度良く解析することが可能である。特に1988年から運用を開始した解析雨量は、25年以上のデータが蓄積し、水文統計的な解析も可能となってきた。そこで本研究では日本列島全域を対象として、解析雨量を用いて確率降雨データベースを整備するとともに、斜面崩壊の規模-頻度および降雨の再現期間との関係を解析した。用いたのは、降雨に起因した4,744件の斜面崩壊(Saito et al., 2014, Geology)である。本研究では、斜面崩壊が発生した降雨イベントについて雨量強度(mm/h)、累積雨量(mm)、土壌雨量指数を計算し、これらの再現期間をGumble分布(ジャックナイフ法)を用いて推定した。結果、規模が103 m3以下の斜面崩壊は、日本列島全域で再現期間10年以下の降雨イベントで発生していた。一方で、斜面崩壊の規模が大きくなると、その降雨の再現期間は増加し、106 m3以上の斜面崩壊が発生した降雨の再現期間は100年以上であった。この結果は、降雨に起因した斜面崩壊の危険度評価において、確率降雨を用いることの有用性を示唆している。
Saito, H., Korup, O., Uchida, T., Hayashi, S., and Oguchi, T., 2014. Rainfall conditions, typhoon frequency, and contemporary landslide erosion in Japan. Geology 42, 999-1002.
Saito, H., Korup, O., Uchida, T., Hayashi, S., and Oguchi, T., 2014. Rainfall conditions, typhoon frequency, and contemporary landslide erosion in Japan. Geology 42, 999-1002.