日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS25] 湿潤変動帯の地質災害とその前兆

2015年5月28日(木) 09:00 〜 10:45 101A (1F)

コンビーナ:*千木良 雅弘(京都大学防災研究所)、小嶋 智(岐阜大学工学部社会基盤工学科)、八木 浩司(山形大学地域教育文化学部)、内田 太郎(国土技術政策総合研究所)、座長:八木 浩司(山形大学地域教育文化学部)、小森 次郎(帝京平成大学)

10:30 〜 10:45

[HDS25-07] 日本列島における斜面崩壊発生と豪雨の再現期間との関係

*齋藤 仁1松山 洋2内田 太郎3 (1.関東学院大学 経済学部、2.首都大学東京 都市環境科学研究科、3.国土交通省 国土技術政策総合研究所 砂防研究室)

キーワード:斜面崩壊, 規模-頻度, 豪雨の再現期間, 解析雨量

湿潤変動帯に位置する日本列島では、降雨に起因する斜面崩壊が頻繁に発生している。このような斜面崩壊の発生と雨量との関係は、解析雨量(レーダー・アメダス解析雨量、気象庁)を用いることで精度良く解析することが可能である。特に1988年から運用を開始した解析雨量は、25年以上のデータが蓄積し、水文統計的な解析も可能となってきた。そこで本研究では日本列島全域を対象として、解析雨量を用いて確率降雨データベースを整備するとともに、斜面崩壊の規模-頻度および降雨の再現期間との関係を解析した。用いたのは、降雨に起因した4,744件の斜面崩壊(Saito et al., 2014, Geology)である。本研究では、斜面崩壊が発生した降雨イベントについて雨量強度(mm/h)、累積雨量(mm)、土壌雨量指数を計算し、これらの再現期間をGumble分布(ジャックナイフ法)を用いて推定した。結果、規模が103 m3以下の斜面崩壊は、日本列島全域で再現期間10年以下の降雨イベントで発生していた。一方で、斜面崩壊の規模が大きくなると、その降雨の再現期間は増加し、106 m3以上の斜面崩壊が発生した降雨の再現期間は100年以上であった。この結果は、降雨に起因した斜面崩壊の危険度評価において、確率降雨を用いることの有用性を示唆している。

Saito, H., Korup, O., Uchida, T., Hayashi, S., and Oguchi, T., 2014. Rainfall conditions, typhoon frequency, and contemporary landslide erosion in Japan. Geology 42, 999-1002.