日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS23] 海洋生態系モデリング

2015年5月24日(日) 16:15 〜 18:00 201B (2F)

コンビーナ:*伊藤 進一(東京大学大気海洋研究所)、平田 貴文(北海道大学地球環境科学研究院)、座長:平田 貴文(北海道大学地球環境科学研究院)

17:00 〜 17:15

[AOS23-11] 日本周辺海域におけるスルメイカの経年変動要因 に関する数値モデル解析

*吉江 直樹1郭 新宇1王 玉成1久保田 泰士1 (1.愛媛大学沿岸環境科学研究センター)

キーワード:スルメイカ, 粒子追跡モデル, 経年変動

日本周辺海域で漁獲されるスルメイカ(学名:Todarodes pacificus)は、日本だけでなく韓国、中国など周辺諸国において最も重要な水産資源の1つである。これまでの研究から、スルメイカの生活史や回遊経路については次のようなことが明らかになっている。スルメイカは、東シナ海大陸斜面から日本海南西部において産卵され、幼生は日本海もしくは太平洋日本周辺域を索餌回遊しながら成長し、成体は産卵のために再び東シナ海に戻り産卵する。この日本周辺海域におけるスルメイカの資源量は、過去数十年間の間に大きな経年変動を繰り返してきた。これまで、海水温などの環境要因が産卵場に及ぼす影響については研究されてきたが、この経年変動を左右する要因については定量的な議論がなされていない。そこで本研究では、1992年から2002年にかけて、粒子追跡モデルを用いて日本周辺海域におけるスルメイカ幼生の索餌回遊をシミュレーションし、経年変動を引き起こす要因について定量的解析を行った。モデル中では、水深と水温による産卵域推定、幼生輸送時のランダムウォーク過程、不適水温による幼生の死亡過程、親魚資源量変化による産卵数変化を考慮した。モデルの結果から、スルメイカ資源量の経年変動要因としては、親魚資源量の変動が最も重要であることが示唆された。