16:21 〜 16:24
[HTT30-P03] UAV(Phantom2 Vision+)とSfM-MVSを用いて生成した超高解像度DSMの精度検証 その3
ポスター講演3分口頭発表枠
キーワード:UAV, SfM-MVS, 超高解像度DSM, 精度検証
〇はじめに
近年、UAVとSfM-MVS(Structure from Motion)を利用した測量技術が注目されている。これにより、時空間解像度の地形情報を取得することができる。この技術は地形学において災害の初期段階の情報取得や地すべり地形、活断層地形の変位量の測定などに応用され、解像度数cmの超高解像度DSMを生成し利用してきた。一方で、河床の礫などミクロな対象物を空撮しDSM化する研究はされていない。また、精度の検証も十分に行われていない。
そこで、本研究では数cm程度のミクロな対象物をDSM化するために、最適な空撮方法やSfM-MVS上での解析方法を、様々な実験設定をもとに解明する。
〇実験手法
アクリル板を基準面とし、真値が定まっている3つのレンガ(高さはそれぞれ6, 12, 18cm)を置き、UAVで空撮した。撮影した画像をSfM-MVSソフトで処理し、DSMを生成した。生成したDSMをGIS上で表示し、それぞれのレンガ及上び基準面の中心のDSMを抽出し、個別値を算出した。抽出した個別値の平均値・最大値・最小値・標準偏差を、他の実験データおよび真値と比較した。使用した機材は、UAV: DJI Phantom2 Vision+, SfM-MVS: Agisoft PhotoScan Professional 1.1.2 , GIS: ArcGIS 10.2である。
撮影および空撮の際の実験設定は、①5m ,10m, 20mと飛行高度を変化させる②10枚, 20枚, 50枚, 100枚, 150枚と解析枚数を変化させる③付与したGCPの位置を、基準面上およびレンガの上、基準面上のみ、レンガの上のみ、基準面と最上位のレンガの上のみと変化させる④SfM-MVSソフト上で自動付与されたGCPを手動で補正する⑤SfM-MVS上でカメラキャリブレーション設定を変化させる(PhotoScan 1.1.1からの新機能)、⑥カメラのチルト角度を変化させる、の6つである。設定⑤および⑥については、当日提供する。
〇結果
①の実験設定で、DSMの解像度は対地高度5mで0.6cm, 対地高度10mで1cm, 対地高度20mで2cmであった。また、飛行高度を上げるにつれてレンガ上のDSMの平均高が小さくなり、標準偏差も小さくなった。飛行高度が上がるにつれてレンガの形状を正確に復元できなくなった。レンガの高さはいずれのDSMも真値よりも低い値を示した。
②の実験設定では、解析枚数10枚, 20枚のデータは基準面状にノイズが現れ、またレンガの形状も正確な長方形を表さなかった。解析枚数50枚から安定し、解析枚数100枚・150枚と上げるにつれて標準偏差が小さくなった。レンガの高さはいずれのDSMも真値よりも低い値を示した。
③の実験設定では、基準面上のみにGCPを付与したデータは、真値よりも高い数値を示し、最大で2.048cm高くなった。また、レンガの上にのみGCPを付与したデータは、レンガの高さが真値に近づいたが、基準面が高くなった。また、基準面上と最上位のレンガの上にGCPを付与したデータは、基準面上のみに付与したデータよりも真値に近くなり、GCPを付与していないレンガも真値に近くなった。レンガの高さは、基準面状のみにGCPを置いたもの以外は全てDSMも真値よりも低い値を示した。
④の実験設定では、レンガの高さが高いDSMほど誤差が生じたが、最大でも0.3cm程度であった。
〇考察
SfM-MVSで生成したDSMは、高度を上げるにつれて解像度が下がる、枚数を増やしたりGCPの数を増やしたりしても解像度はほぼ一定である。また、DSMの精度は、枚数を増やすことで上がり、ばらつきの小さいデータが取得できる。GCPの位置は、同一平面上に置いてしまうと上下成分が突出してしまうため、計測したい対象物の最高点および最低点を付与し、対象物が内挿されるように設置する必要がある。さらに、基準面状にGCPを付与した設定以外の全ての実験設定でレンガの高さが真値よりも低い値を示したことから、同一の高さにGCPを付与すると、その平面に向かって高度が吸い寄せられて復元されることが分かった。よって、GCPは垂直方向にもばらつきを持たせて付与させる必要がある。
近年、UAVとSfM-MVS(Structure from Motion)を利用した測量技術が注目されている。これにより、時空間解像度の地形情報を取得することができる。この技術は地形学において災害の初期段階の情報取得や地すべり地形、活断層地形の変位量の測定などに応用され、解像度数cmの超高解像度DSMを生成し利用してきた。一方で、河床の礫などミクロな対象物を空撮しDSM化する研究はされていない。また、精度の検証も十分に行われていない。
そこで、本研究では数cm程度のミクロな対象物をDSM化するために、最適な空撮方法やSfM-MVS上での解析方法を、様々な実験設定をもとに解明する。
〇実験手法
アクリル板を基準面とし、真値が定まっている3つのレンガ(高さはそれぞれ6, 12, 18cm)を置き、UAVで空撮した。撮影した画像をSfM-MVSソフトで処理し、DSMを生成した。生成したDSMをGIS上で表示し、それぞれのレンガ及上び基準面の中心のDSMを抽出し、個別値を算出した。抽出した個別値の平均値・最大値・最小値・標準偏差を、他の実験データおよび真値と比較した。使用した機材は、UAV: DJI Phantom2 Vision+, SfM-MVS: Agisoft PhotoScan Professional 1.1.2 , GIS: ArcGIS 10.2である。
撮影および空撮の際の実験設定は、①5m ,10m, 20mと飛行高度を変化させる②10枚, 20枚, 50枚, 100枚, 150枚と解析枚数を変化させる③付与したGCPの位置を、基準面上およびレンガの上、基準面上のみ、レンガの上のみ、基準面と最上位のレンガの上のみと変化させる④SfM-MVSソフト上で自動付与されたGCPを手動で補正する⑤SfM-MVS上でカメラキャリブレーション設定を変化させる(PhotoScan 1.1.1からの新機能)、⑥カメラのチルト角度を変化させる、の6つである。設定⑤および⑥については、当日提供する。
〇結果
①の実験設定で、DSMの解像度は対地高度5mで0.6cm, 対地高度10mで1cm, 対地高度20mで2cmであった。また、飛行高度を上げるにつれてレンガ上のDSMの平均高が小さくなり、標準偏差も小さくなった。飛行高度が上がるにつれてレンガの形状を正確に復元できなくなった。レンガの高さはいずれのDSMも真値よりも低い値を示した。
②の実験設定では、解析枚数10枚, 20枚のデータは基準面状にノイズが現れ、またレンガの形状も正確な長方形を表さなかった。解析枚数50枚から安定し、解析枚数100枚・150枚と上げるにつれて標準偏差が小さくなった。レンガの高さはいずれのDSMも真値よりも低い値を示した。
③の実験設定では、基準面上のみにGCPを付与したデータは、真値よりも高い数値を示し、最大で2.048cm高くなった。また、レンガの上にのみGCPを付与したデータは、レンガの高さが真値に近づいたが、基準面が高くなった。また、基準面上と最上位のレンガの上にGCPを付与したデータは、基準面上のみに付与したデータよりも真値に近くなり、GCPを付与していないレンガも真値に近くなった。レンガの高さは、基準面状のみにGCPを置いたもの以外は全てDSMも真値よりも低い値を示した。
④の実験設定では、レンガの高さが高いDSMほど誤差が生じたが、最大でも0.3cm程度であった。
〇考察
SfM-MVSで生成したDSMは、高度を上げるにつれて解像度が下がる、枚数を増やしたりGCPの数を増やしたりしても解像度はほぼ一定である。また、DSMの精度は、枚数を増やすことで上がり、ばらつきの小さいデータが取得できる。GCPの位置は、同一平面上に置いてしまうと上下成分が突出してしまうため、計測したい対象物の最高点および最低点を付与し、対象物が内挿されるように設置する必要がある。さらに、基準面状にGCPを付与した設定以外の全ての実験設定でレンガの高さが真値よりも低い値を示したことから、同一の高さにGCPを付与すると、その平面に向かって高度が吸い寄せられて復元されることが分かった。よって、GCPは垂直方向にもばらつきを持たせて付与させる必要がある。