18:15 〜 19:30
[PPS21-P16] 小惑星の複雑形状を反映した天体表面温度の自転波形に関する数値シミュレーション
キーワード:小惑星, 表面温度, 形状モデル, 熱モデル, 地形, 熱慣性
小惑星イトカワの形状に関しては、空間解像度が1m程度で全体形状が数値モデルとして復元されており、現在これを利用した天体の表面温度の空間解像度に対する振る舞いについて検討を進めている。これは将来の探査による近接観測に対して重要となる熱モデルに用いるべき形状モデルの空間解像度を決定し、期待される観測結果の誤差に対する知見を得るためである。探査機の天体までの距離で観測装置の持つ天体の空間解像度が決まるが、熱的な観測結果を説明するのに十分な形状モデルの空間解像度はいかほどであるのかを知るための具体的検討が必要であり、実施した結果を今回公表する。月や水星のようなほぼ完全に球形で近似できる天体の場合の検討は過去に行われ成功を収めている。小惑星の熱モデルに関しては、数十年程度の歴史を持つが、主に望遠鏡を用いたライトカーブの観測結果を説明するのが主要な用途であり、これら古典的スタイルは近年の探査の結果を説明するのに必ずしも有用ではないことが明らかになりつつある。できるだけパラメータを物理的に意味の明確な形で取り入れられ、観測結果を明示的に説明できるモデルが望まれており、そのひとつが本件が含まれる天体の複雑形状を考慮した熱的なモデリングに関する研究である。NEA型小惑星の表層物質は、地上観測の結果からは熱赤外領域での振舞いを見た場合、低アルベドで黒体に近い輻射率をもつことがわかっているが、複雑形状を考慮することで付随する2次的な加熱効果に関する適切な取り扱いがモデル適用の妥当性を決める要因となる。
本発表は、はやぶさ2探査機に搭載されている中間赤外カメラによる対象天体1999JU3の撮像画像を元に熱慣性を推定する方法の検討に関する位置づけとなる。近接撮像で空間解像度が上がるにつれ単純な熱モデルとの相違が出始めることが予想されるが、この懸案に関する具体的な検討である。具体的には、天体が非点熱源であり、かつ表面形状が非球面的な振る舞いをするような天体表面の熱的モデリングを行った場合の結果である。この場合新たに付随する熱的効果は3つあり、まず表面の凹凸に起因する局所的な陰影ができ冷却する効果、次に表面で太陽の熱量を一度吸収した後に輻射熱として再放出されるエネルギーが周囲を暖める効果、および天体表面で太陽光が散乱反射することで温まる効果であるが、これらを考慮した条件下で表面温度の計算を実施した。小惑星のアルベドと輻射率からは特に前者2つの加熱冷却現象が重要になる。本発表では、特に天体の局所的な温度を追跡して再現した自転に伴う温度の上下を表す、一日の波形の詳細な形について計算した結果を発表する予定である。これは局所的な凹凸のみならず、大域的な形状による陰影などの影響を反映しており、探査機による現実の天体表面の近接観測では無視できない熱的現象の効果を把握するのに有用と思われる。天体表層の物理的状態を知る指標のひとつに熱慣性があるが、これは加熱時刻に対する時間的な遅れとして把握できる。しかしながら探査機が取得する画像の撮像頻度如何では推定精度が最大温度等ほかの方法に劣る恐れがあり、このことから逆にどの程度の撮像運用が必要かを知るのに重要な結果となることが見込まれる。
本発表は、はやぶさ2探査機に搭載されている中間赤外カメラによる対象天体1999JU3の撮像画像を元に熱慣性を推定する方法の検討に関する位置づけとなる。近接撮像で空間解像度が上がるにつれ単純な熱モデルとの相違が出始めることが予想されるが、この懸案に関する具体的な検討である。具体的には、天体が非点熱源であり、かつ表面形状が非球面的な振る舞いをするような天体表面の熱的モデリングを行った場合の結果である。この場合新たに付随する熱的効果は3つあり、まず表面の凹凸に起因する局所的な陰影ができ冷却する効果、次に表面で太陽の熱量を一度吸収した後に輻射熱として再放出されるエネルギーが周囲を暖める効果、および天体表面で太陽光が散乱反射することで温まる効果であるが、これらを考慮した条件下で表面温度の計算を実施した。小惑星のアルベドと輻射率からは特に前者2つの加熱冷却現象が重要になる。本発表では、特に天体の局所的な温度を追跡して再現した自転に伴う温度の上下を表す、一日の波形の詳細な形について計算した結果を発表する予定である。これは局所的な凹凸のみならず、大域的な形状による陰影などの影響を反映しており、探査機による現実の天体表面の近接観測では無視できない熱的現象の効果を把握するのに有用と思われる。天体表層の物理的状態を知る指標のひとつに熱慣性があるが、これは加熱時刻に対する時間的な遅れとして把握できる。しかしながら探査機が取得する画像の撮像頻度如何では推定精度が最大温度等ほかの方法に劣る恐れがあり、このことから逆にどの程度の撮像運用が必要かを知るのに重要な結果となることが見込まれる。