日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT40] 地球惑星科学データ解析の新展開:データ駆動型アプローチ

2015年5月27日(水) 16:15 〜 18:00 201A (2F)

コンビーナ:*桑谷 立(東北大学大学院環境科学研究科)、駒井 武(東北大学大学院 環境科学研究所)、宮本 英昭(東京大学総合研究博物館)、小池 克明(京都大学大学院工学研究科 都市社会工学専攻地殻環境工学講座)、堀 高峰(独立行政法人海洋研究開発機構・地震津波海域観測研究開発センター)、長尾 大道(東京大学地震研究所)、座長:岡本 敦(東北大学大学院環境科学研究科)、新原 隆史(東京大学 総合研究博物館)

17:15 〜 17:30

[MTT40-05] マイクロブーディン地質古応力計における赤池情報量規準を 用いたモデル選択

*松村 太郎次郎1増田 俊明2 (1.静岡大学創造科学技術大学院、2.静岡大学理学部地球科学科)

キーワード:マイクロブーディン構造, 地質古応力計, 赤池情報量基準, モデル選択

マイクロブーディン構造とは岩石変形構造の一つである。この構造は岩石中の鉱物が変形によって割れて離れ、その間隙を周囲の基質が流動して埋めることで出来る。特に石英質もしくは石灰質な基質中に存在する柱状鉱物(例えば、電気石、角閃石、紅簾石)がマイクロブーディン構造を示す場合において,これをマイクロブーディン地質古応力計として利用できる。マイクロブーディン地質古応力計は柱状鉱物の縦横比とマイクロブーディン構造の存在率の関係を弾性モデルによって表現し、これまで困難であった岩石が高温高圧変形を受けた際の応力値を定量的に推定することを可能とした。しかし、構造地質学において、高温高圧下での岩石の変形は粘性モデル、特にニュートン流体に近似して取り扱われるのが一般的である。そこで、本発表では、弾性モデルと粘性モデルではどちらが縦横比とマイクロブーディン構造の存在率の関係を説明するモデルとしてふさわしいのか赤池情報量規準(AIC)による検証を行なったので報告する。測定データは西オーストラリア、東ピルバラ地域の花崗岩体周辺に産する9つの石英片岩(メタチャート)中の計6171粒の電気石を測定して得たものを利用する。結果として、全てのサンプルで弾性モデルが選択された。従って、マイクロブーディン地質古応力計のモデルとしてふさわしいのは弾性モデルであると結論付けられる。