日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS26] 生物地球化学

2015年5月27日(水) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*楊 宗興(東京農工大学)、柴田 英昭(北海道大学北方生物圏フィールド科学センター)、大河内 直彦(海洋研究開発機構)、山下 洋平(北海道大学 大学院地球環境科学研究院)

18:15 〜 19:30

[MIS26-P16] スパイラルメトリクスのin situ計測に基づく大規模河川の栄養塩代謝機能の評価

*小林 勇太1岩田 智也2 (1.山梨大学工学部循環システム工学科、2.山梨大学生命環境学部)

キーワード:スパイラルメトリクス, 大河川, 栄養塩, 栄養塩除去速度, ホットスポット

陸域から河川へ流出する栄養塩は、海洋へと輸送される間に河床に取込まれていく。そのため、水系網における栄養塩除去プロセスの解明が、沿岸域の富栄養化を阻止する上で重要である。これまで、下流への窒素やリンの輸送には小河川における栄養塩代謝が重要であると考えられてきた。しかし、流量18m3/s以上の河川で栄養塩除去速度を観測した例はない。そのため、大河川が水系網の栄養塩輸送に果たす役割が過小評価されてきた可能性がある。また、河川環境の空間的異質性と栄養塩除去速度の関係についてもほとんど明らかとはなってない。
本研究は、観測者自身が流下しながら水塊を追跡するドリフト法によって、流量40m3/s以上の富士川本流の窒素とリンのスパイラルメトリクスを推定する。さらに、河川の局所環境要因がスパイラルメトリクスに及ぼす影響を評価し、大河川における栄養塩代謝のホットスポットを特定することを目的とした。
調査の結果、富士川本流のNH4とPO4の除去速度Uは、先行研究による小中河川の推定値と比較しても高い値を示すことが明らかとなった。しかし、河川水中の高いNH4とPO4濃度を反映し、水柱からの除去効率を示す鉛直移動速度vfは低い値を示した。また、同じく河川中の濃度が高いNO3では取込み速度Uが負の値を示し、河床から水柱へのフラックスが生じていた.発表では、栄養塩スパイラルメトリクスのスケール依存性や空間パターンに関する解析結果を追加し、大河川における栄養塩除去プロセスの特徴を明らかにする。