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[MGI37-20] 時系列画像からのオブジェクト抽出とその生成消滅過程のモデル化 -気象画像、3Dレーダーデータへの応用-
キーワード:時空間, データマイニング, オブジェクト, モデリング, 気象画像, 気象レーダ
近年、衛星による地球観測や地上での気象レーダ観測等で大量に蓄積されている時空間データには、生成・消滅する“オブジェクト“が含まれている。例えば気象画像の雲塊や気象レーダデータにおける降雨領域領域がこれに相当する。これらのオブジェクトはある時間に誕生し、形状や特徴を変えながら移動し、最終的には消滅する。またその間に他のオブジェクトと相互作用し、ある場合は融合・分裂する。時系列画像からこのようなオブジェクトの位置と形態を複数時間にわたっての同一性や親子関係に注目しながら時間毎に抽出し、さらにテクスチャ等にもとづくラベリングを行ってデータベースに格納することができれば、オブジェクト同士の相互作用や、移動パターン等に関する知識発見に供することができると期待できる。本発表ではこのような目的で開発した時系列画像からのオブジェクトの抽出法と得られたオブジェクトの記述モデルについて紹介し、その実データへの適用例について述べる。
本手法では、1つの時間断面に含まれるオブジェクトの集合は多変量正規分布の混合分布でモデル化する。与えられたデータの時空間断面(またはフレーム画像)に対して閾値処理を行い、さらに間引きしてサンプリングしたオブジェクト候補点に対して、その分布を表すモデルパラーメータをEMアルゴリズムによって決定する。その際、ある時間の解を求めるには、前の時間の解を種にして、一部のオブジェクトが生成、消滅する可能性を考慮した複数の解候補を生成し、これを初期値として与えて独立に解いた結果をBICによって評価することによって最適なモデルを求める。これによって計算時間を短縮化するとともに、前の時間のID(分裂による分岐を考慮)を継承することによって、複数の時間にわたってのオブジェクトの同一性の把握や親子関係の関連づけを可能にしている。また、それぞれのオブジェクトにはテクスチャの情報に基づいて自己組織化マッピング等の手法によるラベル付けも行い、この情報も共にデータベースに格納する。これによって、あるオブジェクトの一生を通じた特徴の変遷や、その時空間変動パターン、相互作用などを抽出するための基礎データを得る。
今回はこれまで実験に用いてきた気象衛星画像(ひまわり6-7号のIR1画像)からの雲塊抽出に加え、3次元の気象レーダの同一高度断面での降雨領域抽出についても実験を行った。両者の結果からこのような手法の地球科学的な問題への適用性について述べる。
本手法では、1つの時間断面に含まれるオブジェクトの集合は多変量正規分布の混合分布でモデル化する。与えられたデータの時空間断面(またはフレーム画像)に対して閾値処理を行い、さらに間引きしてサンプリングしたオブジェクト候補点に対して、その分布を表すモデルパラーメータをEMアルゴリズムによって決定する。その際、ある時間の解を求めるには、前の時間の解を種にして、一部のオブジェクトが生成、消滅する可能性を考慮した複数の解候補を生成し、これを初期値として与えて独立に解いた結果をBICによって評価することによって最適なモデルを求める。これによって計算時間を短縮化するとともに、前の時間のID(分裂による分岐を考慮)を継承することによって、複数の時間にわたってのオブジェクトの同一性の把握や親子関係の関連づけを可能にしている。また、それぞれのオブジェクトにはテクスチャの情報に基づいて自己組織化マッピング等の手法によるラベル付けも行い、この情報も共にデータベースに格納する。これによって、あるオブジェクトの一生を通じた特徴の変遷や、その時空間変動パターン、相互作用などを抽出するための基礎データを得る。
今回はこれまで実験に用いてきた気象衛星画像(ひまわり6-7号のIR1画像)からの雲塊抽出に加え、3次元の気象レーダの同一高度断面での降雨領域抽出についても実験を行った。両者の結果からこのような手法の地球科学的な問題への適用性について述べる。