11:45 〜 12:00
[MIS35-11] インド洋中央海嶺の深海性かんらん岩:マントルの不均質性と海洋プレート形成への影響
キーワード:インド洋中央海嶺, 深海性かんらん岩, マントルの不均質性, 海洋プレートの形成
中央海嶺は,プレート形成場であり,マントル物質であるかんらん岩が部分融解してメルトが発生し,メルトの分離-移動-固化によって玄武岩質海洋地殻と溶け残りかんらん岩が形成されていると考えられている。そのため,海洋底で採取される深海性かんらん岩は,中央海嶺下での融解を記録していることを想定した議論が多くなされてきた。しかし,近年の研究成果から,中央海嶺かんらん岩試料の中に,現在の中央海嶺活動以前に融解を経験したことを示唆するものが含まれていることが指摘されている(Brandon et al., 2000; Standish et al., 2002; Harvey et al., 2006; Liu et al., 2008)。マントルの不均質性を生み出すモデルとして,沈み込んだ海洋地殻物質のマントルへの再混入モデルは広く受け入れられている(例えば,Hofmann, 1997)。沈み込んだ海洋地殻再混入モデルを受け入れるならば,沈み込んだ過去の溶け残りかんらん岩が混在していることも十分に可能である。
インド洋および南大西洋の海洋底玄武岩類は,他の地域と比較して,玄武岩の同位体比組成が異なることが知られている (例えば,Iwamori & Albarede, 2008; Iwamori et al., 2010)。インド洋中央海嶺からは深海性かんらん岩も多く採取されてい (Hellebrand et al., 2002; Seyler et al., 2003; Morishita et al., 2009, 2014; Zhou and Dick, 2013;Yi et al., 2014)。インド洋中央海嶺は北から南に向かい拡大速度が速くなることが知られており (DeMets et al., 2010),拡大速度と深海性かんらん岩の相関を検討する海域として,ひいては,広域的な海洋マントルの多様性とその要因に関する研究に適した海域であると考えている。また,インド洋の深海性かんらん岩は,他の海域のものと比較してOs同位体比が高い傾向にある (仙田ら,2012)。
海洋研究開発機構の調査船により中央インド洋海嶺最南端領域から深海性かんらん岩が多く採取された。本地域のかんらん岩は,中程度にメルト成分に枯渇し,その後,分化したメルトによる組成改変を受けているという特徴を持つ。最南端部の結果と,インド洋中央海嶺北部から採取されたかんらん岩と比較してみると,拡大速度や,海嶺セグメントの中心部-末端部という関係に関わらず相関が見られず,比較的メルト成分に枯渇したかんらん岩が採取されている。また,最南端部の中央海嶺軸に産する地形的な高まりから採取された試料は,記載岩石学的には斜方輝石が多く(つまりケイ素に富むかんらん岩)であり,Os同位体組成的には高い特徴を持つことが明らかになってきた。これらの試料は,沈み込む海洋プレートの影響を受けたマントルウエッジかんらん岩に期待される特徴である。これらを総合して考えると,インド洋中央海嶺は,ゴンドワナ大陸が分裂した場所に形成された海洋であり,パンジアやゴンドワナ大陸を形成した時(およびそれ以前の)履歴を記録したかんらん岩が中央海嶺下に混合している可能性が指摘できる。このようなかんらん岩の中には,中央海嶺下での断熱上昇では玄武岩質の地殻を十分に形成するほどメルトを発生しない場合があり,かんらん岩が海洋底近傍まで上昇する可能性が考えられる。このような場合,引き続く海洋プレートの拡大によって断層の形成,海水の浸透により蛇紋岩化するとことで,海洋底に深海性かんらん岩が露出しやすくなることが起き,マントルの不均質性が海洋プレートの構成そのものに影響を与えることが予想される。
インド洋および南大西洋の海洋底玄武岩類は,他の地域と比較して,玄武岩の同位体比組成が異なることが知られている (例えば,Iwamori & Albarede, 2008; Iwamori et al., 2010)。インド洋中央海嶺からは深海性かんらん岩も多く採取されてい (Hellebrand et al., 2002; Seyler et al., 2003; Morishita et al., 2009, 2014; Zhou and Dick, 2013;Yi et al., 2014)。インド洋中央海嶺は北から南に向かい拡大速度が速くなることが知られており (DeMets et al., 2010),拡大速度と深海性かんらん岩の相関を検討する海域として,ひいては,広域的な海洋マントルの多様性とその要因に関する研究に適した海域であると考えている。また,インド洋の深海性かんらん岩は,他の海域のものと比較してOs同位体比が高い傾向にある (仙田ら,2012)。
海洋研究開発機構の調査船により中央インド洋海嶺最南端領域から深海性かんらん岩が多く採取された。本地域のかんらん岩は,中程度にメルト成分に枯渇し,その後,分化したメルトによる組成改変を受けているという特徴を持つ。最南端部の結果と,インド洋中央海嶺北部から採取されたかんらん岩と比較してみると,拡大速度や,海嶺セグメントの中心部-末端部という関係に関わらず相関が見られず,比較的メルト成分に枯渇したかんらん岩が採取されている。また,最南端部の中央海嶺軸に産する地形的な高まりから採取された試料は,記載岩石学的には斜方輝石が多く(つまりケイ素に富むかんらん岩)であり,Os同位体組成的には高い特徴を持つことが明らかになってきた。これらの試料は,沈み込む海洋プレートの影響を受けたマントルウエッジかんらん岩に期待される特徴である。これらを総合して考えると,インド洋中央海嶺は,ゴンドワナ大陸が分裂した場所に形成された海洋であり,パンジアやゴンドワナ大陸を形成した時(およびそれ以前の)履歴を記録したかんらん岩が中央海嶺下に混合している可能性が指摘できる。このようなかんらん岩の中には,中央海嶺下での断熱上昇では玄武岩質の地殻を十分に形成するほどメルトを発生しない場合があり,かんらん岩が海洋底近傍まで上昇する可能性が考えられる。このような場合,引き続く海洋プレートの拡大によって断層の形成,海水の浸透により蛇紋岩化するとことで,海洋底に深海性かんらん岩が露出しやすくなることが起き,マントルの不均質性が海洋プレートの構成そのものに影響を与えることが予想される。