18:15 〜 19:30
[SSS32-P06] 日本海溝北部-千島海溝で発生したM>7.5の地震の顕著な前震活動
キーワード:日本海溝北部-千島海溝, 顕著な前震活動, ETASモデル, 改良連係震源決定法, 走時差グリッドサーチ震源決定, 遠地実体波インバージョン
日本海溝北部から千島海溝にかけて発生する大地震・巨大地震には顕著な前震活動を伴うものがある.本研究では,この地域で発生したM>7.5の地震に対して,顕著な前震活動を伴ったかどうかを区別するために,地震の余震域と同程度の大きさの領域における本震前1年間の地震活動の推移をM-T図や地震の積算回数によって調べた.数個程度の前震を伴った地震があったとしても,定常的な地震活動と前震との区別が難しいので,本研究では,数10個以上の多数の前震を伴う地震を対象とした.
顕著な前震活動を伴ったM>7.5の地震は,2006年シムシル島沖のプレート間地震(Mw8.3)とそれに続く2007年のアウターライズ地震(Mw8.1),1963年エトロフ沖地震(Mw8.6), 1991ウルップ島沖の地震(Mw7.6), 1995年択捉島沖の地震(Mw7.9),1978年択捉島沖の地震(Mw7.8),1969年北海道東方沖地震(Mw8.2),1989年岩手沖の地震(Mw7.4)である.逆に,1973年根室半島沖地震(Mw7.8),1952 年と2003年の十勝沖地震(Mw8.1,Mw8.1), 1968年十勝沖地震(Mw8.3)と1994年三陸はるか沖地震 (Mw7.8)といったM>7.5のプレート間地震や,1958 エトロフ沖地震(Mw8.4), 1978年国後水道地震 (Mw7.8), 1993 釧路沖地震(Mw7.7), 1994年北海島東方沖地震(Mw8.3)については,前震が数個あるか,あるいは全く無かった.
次に,顕著な前震活動に対して,前震の活動度の時間推移を調べるためのETASモデル(Epidemic Type Aftershock Sequence;Ogata, 1988,1992)による解析,前震活動の空間分布の時間推移を調べるための前震・本震の震源分布の比較,前震域と本震の破壊域との関係を調べるための前震の震源分布と本震のすべり量分布との比較を行った.
以上の解析の結果,現在のところ,以下のことが分かっている.顕著な前震活動は,マグニチュードの大きな前震とその余震によって構成され,本震直前における活発化や静穏化などは見られなかった.また,2007年シムシル島沖のアウターライズ地震に先行した前震は,2006年のアウターライズ域での余震活動で説明でき,本震直前の活発化や静穏化は見られなかった.前震活動は,時間と共に一定の方向へ広がる傾向にあった.しかしながら,拡大の方向は地震により様々であり,本震直前に拡大速度が顕著に変化することもなかった.前震活動域は本震のすべりが大きかった領域とは棲み分けているようである.2007年シムシル島沖のアウターライズ地震に関しても,地震時のすべりが大きかった場所では,前震活動(2006年のプレート間巨大地震の余震活動)の活動度は低かった.今後,前震域の拡大についてさらに検討するために,ΔCFFによる解析なども行う予定である.
以上の解析において,本震と前震は,改良連携震源決定法(MJHD法)と地震間の走時差を用いたグリッドサーチによる震源決定法との併用(Hurukawa and Harada, 2015)によって高精度に相対震源再決定された.また,本震のすべり分布は,Kikuchi and Kanamori(2003)による遠地実体波インバージョンによって推定された.
顕著な前震活動を伴ったM>7.5の地震は,2006年シムシル島沖のプレート間地震(Mw8.3)とそれに続く2007年のアウターライズ地震(Mw8.1),1963年エトロフ沖地震(Mw8.6), 1991ウルップ島沖の地震(Mw7.6), 1995年択捉島沖の地震(Mw7.9),1978年択捉島沖の地震(Mw7.8),1969年北海道東方沖地震(Mw8.2),1989年岩手沖の地震(Mw7.4)である.逆に,1973年根室半島沖地震(Mw7.8),1952 年と2003年の十勝沖地震(Mw8.1,Mw8.1), 1968年十勝沖地震(Mw8.3)と1994年三陸はるか沖地震 (Mw7.8)といったM>7.5のプレート間地震や,1958 エトロフ沖地震(Mw8.4), 1978年国後水道地震 (Mw7.8), 1993 釧路沖地震(Mw7.7), 1994年北海島東方沖地震(Mw8.3)については,前震が数個あるか,あるいは全く無かった.
次に,顕著な前震活動に対して,前震の活動度の時間推移を調べるためのETASモデル(Epidemic Type Aftershock Sequence;Ogata, 1988,1992)による解析,前震活動の空間分布の時間推移を調べるための前震・本震の震源分布の比較,前震域と本震の破壊域との関係を調べるための前震の震源分布と本震のすべり量分布との比較を行った.
以上の解析の結果,現在のところ,以下のことが分かっている.顕著な前震活動は,マグニチュードの大きな前震とその余震によって構成され,本震直前における活発化や静穏化などは見られなかった.また,2007年シムシル島沖のアウターライズ地震に先行した前震は,2006年のアウターライズ域での余震活動で説明でき,本震直前の活発化や静穏化は見られなかった.前震活動は,時間と共に一定の方向へ広がる傾向にあった.しかしながら,拡大の方向は地震により様々であり,本震直前に拡大速度が顕著に変化することもなかった.前震活動域は本震のすべりが大きかった領域とは棲み分けているようである.2007年シムシル島沖のアウターライズ地震に関しても,地震時のすべりが大きかった場所では,前震活動(2006年のプレート間巨大地震の余震活動)の活動度は低かった.今後,前震域の拡大についてさらに検討するために,ΔCFFによる解析なども行う予定である.
以上の解析において,本震と前震は,改良連携震源決定法(MJHD法)と地震間の走時差を用いたグリッドサーチによる震源決定法との併用(Hurukawa and Harada, 2015)によって高精度に相対震源再決定された.また,本震のすべり分布は,Kikuchi and Kanamori(2003)による遠地実体波インバージョンによって推定された.