日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

インターナショナルセッション(ポスター発表)

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GG 地理学

[H-GG01] International comparison of landscape appreciation

2015年5月27日(水) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*Christoph Rupprecht(Griffith School of Environment, Griffith University)、高瀬 唯(千葉大学大学院園芸学研究科)、古谷 勝則(千葉大学大学院園芸学研究科)

18:15 〜 19:30

[HGG01-P04] イメージスケッチを用いた日本人とフィジーのインド系住民の風景イメージの比較

*小菅 貴史1古谷 勝則1 (1.千葉大学大学院園芸学研究科)

キーワード:風景イメージ, 日本人, インド系, 比較

本研究では、フィジーのインド系の住民と日本人を対象に、両民族の森林に対するイメージの違いを、スケッチ調査から明らかにすることを目的とした。樹形には、文章とスケッチから丸型、円錐型、乱型、ヤシ型の4種類に分類した。

回答者の性別では,日本人では男性19名,女性31名,フィジーのインド系の住民では男性19名,女性31名であった。回答者の年齢では,日本人では20代21名,30代6名,40代以上23名,フィジーのインド系の住民では20代21名,30代6名,40代以上23名であった。

森林を描いてもらったがスケッチには山、木、太陽などの自然要素が多く描かれた。ただフィジーのインド系住民のスケッチには、山を中心に描きながら熱帯地域に広がるヤシの木などを含んでいた。さらには自然風景の中には、家や村などを同時に描かれることもあり、自然が身近な暮らしの中に密接に結びついていることが考えられる。民族別の回答割合をみると、自然では日本人94%、インド系54%であり、有意な差がみられた(p<.05)。農村では日本人6%、インド系46%であり、有意な差がみられた(p<.05)。日本人は森林を自然の中に捉え、インド系は森林を自然だけでなく農村にもとらえている可能性がある。自然では、山や河川、森林などから構成された景観であり、農村は家や農場などの人工物が主体となって描かれている景観であった。スケッチの描写を分析すると、日本人は自然に関するもの、インド系は植物など描写に関して日本人よりも細かな描写がみられた。

次に空間構造を民族別にみると、近景では日本人46%、インド系2%、遠景では日本人4%、インド系68%で有意な差がみられた(p<.05)。空間構造については、日本人は森林風景を近景として描写される風景が多かったのに対して,インド系は遠景として描写される風景が多かった。日本人の近景は、近くに森林の様子を捉え描かれていた。インド系の遠景のスケッチは、遠くに山並みが連なり、山から滝や河が流れ、海へと繋がっている。さらにその周辺には木々や熱帯特有のヤシの木や家や村など人工物が描かれていた。

最後に樹形を民族別にみると、円錐型では日本人43%、インド系6%,乱型では日本人28%、インド系4%,丸型では日本人39%、インド系62%,ヤシ型では日本人0%、インド系86%で有意な差がみられた(p<.05)。日本人には、円錐型に杉などの針葉樹が描かれていた。また,フィジーに住むインド系には、熱帯地方に多く、独特の樹型で知られている椰子が描かれていた。樹形については、地域の位置や地質、気候によって育まれた樹木の樹形が森林風景のスケッチにも描かれていた。