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[SCG57-05] 日本海地震・津波調査プロジェクト:海陸統合地殻構造探査「2014年かほく-砺波測線」による富山堆積盆地の構造
キーワード:日本海, 震源断層, 地殻構造, 反射法地震探査, 堆積盆地
文部科学省「日本海地震津波調査プロジェクト」のプロジェクトの一環として、2014年度に山陰沖から北陸地域において、震源断層の分布・形状と地殻構造を解明する目的で、海陸統合および沿岸域における地殻構造調査が実施された。本発表では、富山県八尾から呉羽丘陵・砺波平野・宝達山地を横断し、石川県かほく市沖に至る測線で実施した海陸統合深部地殻構造探査の結果について報告する。
今回の地殻構造探査の特色は、水平解像度の向上による複雑な地質構造のイメージングを図るため、多数の独立型収録器を駆使し、深部構造探査としては稠密な25 m間隔の受振・発震を実現したことである。測線は、富山県八尾町から石川県かほく市高松にいたる15 km区間に、受振点間隔25 mの陸上探査測線を設定すると共に、海域延長部には2.5 kmにわたって海底着底ケーブルを設置し、25 m間隔での大型バイブレータ4台およびエアガン(容量3020 cu.inch)の発震記録を受振した。また、屈折法による速度構造の推定のため、陸上区間10点(約5 km間隔)において、100-150 sweepの集中発震を実施した。これらをもって海陸統合測線(KT01)を構成した。また、測線の一部に当たる砺波平野中部?宝達山地東麓部の約10 km区間では、更に12.5m間隔で独立型収録器と中型バイブレーターによる稠密発震を行い、高分解能反射法のデータを取得した。
KT01測線が横断する砺波平野下では、P波速度が5 km/secを超える層が海水準下5 km に分布している。このことは、富山トラフの南西延長にあたる砺波平野の新第三系堆積盆地が、2013年に実施した飛騨山脈の北縁から富山トラフを横断する海陸統合測線(T1)(佐藤ほか、2013)で明らかになった富山トラフと同等の規模と構造差を有することを示す。堆積盆の両側は、南東および北西に傾斜する正断層によって区切られており、新潟-佐渡海峡などの日本海拡大期の中絶リフトの構造と類似する。高清水断層、法林寺断層、石動断層といった平野縁辺に分布する逆断層の上盤側に見られる褶曲構造は、これら新第三系の堆積盆を境する正断層の再活動によって形成された反転構造である。さらに、砺波平野やかほく市沿岸部では、先新第三系基盤岩類および新第三系の分布高度を大きく食い違わせる構造が伏在しており、その直下には逆断層が存在していると推定される。上述の高分解能浅層反射法探査の結果によれば、このうち砺波平野に伏在する逆断層は第四系大桑層・埴生層相当および更に上位の層準まで変形させており、活動的であると考えられる。また、測線西部の日本海沿岸部には、基盤岩類とこれより上位の堆積物の分布高度を大きく食い違わせる西向きの単斜構造が分布し、その下には東傾斜の伏在断層の存在が推定される。
かほく砺波構造探査研究グループ:池口直毅・山内紘一・田中伸一・坂 守・宮川幸治・田上貴代子・辻 浩・渡辺 茂・安藤美和子(東京大学地震研究所)・日高功揮・大内 貫・山田 遼(岩手大学)・小野藍生・佐藤 光・香取拓馬・飯田圭輔・粉川真人(新潟大学)
今回の地殻構造探査の特色は、水平解像度の向上による複雑な地質構造のイメージングを図るため、多数の独立型収録器を駆使し、深部構造探査としては稠密な25 m間隔の受振・発震を実現したことである。測線は、富山県八尾町から石川県かほく市高松にいたる15 km区間に、受振点間隔25 mの陸上探査測線を設定すると共に、海域延長部には2.5 kmにわたって海底着底ケーブルを設置し、25 m間隔での大型バイブレータ4台およびエアガン(容量3020 cu.inch)の発震記録を受振した。また、屈折法による速度構造の推定のため、陸上区間10点(約5 km間隔)において、100-150 sweepの集中発震を実施した。これらをもって海陸統合測線(KT01)を構成した。また、測線の一部に当たる砺波平野中部?宝達山地東麓部の約10 km区間では、更に12.5m間隔で独立型収録器と中型バイブレーターによる稠密発震を行い、高分解能反射法のデータを取得した。
KT01測線が横断する砺波平野下では、P波速度が5 km/secを超える層が海水準下5 km に分布している。このことは、富山トラフの南西延長にあたる砺波平野の新第三系堆積盆地が、2013年に実施した飛騨山脈の北縁から富山トラフを横断する海陸統合測線(T1)(佐藤ほか、2013)で明らかになった富山トラフと同等の規模と構造差を有することを示す。堆積盆の両側は、南東および北西に傾斜する正断層によって区切られており、新潟-佐渡海峡などの日本海拡大期の中絶リフトの構造と類似する。高清水断層、法林寺断層、石動断層といった平野縁辺に分布する逆断層の上盤側に見られる褶曲構造は、これら新第三系の堆積盆を境する正断層の再活動によって形成された反転構造である。さらに、砺波平野やかほく市沿岸部では、先新第三系基盤岩類および新第三系の分布高度を大きく食い違わせる構造が伏在しており、その直下には逆断層が存在していると推定される。上述の高分解能浅層反射法探査の結果によれば、このうち砺波平野に伏在する逆断層は第四系大桑層・埴生層相当および更に上位の層準まで変形させており、活動的であると考えられる。また、測線西部の日本海沿岸部には、基盤岩類とこれより上位の堆積物の分布高度を大きく食い違わせる西向きの単斜構造が分布し、その下には東傾斜の伏在断層の存在が推定される。
かほく砺波構造探査研究グループ:池口直毅・山内紘一・田中伸一・坂 守・宮川幸治・田上貴代子・辻 浩・渡辺 茂・安藤美和子(東京大学地震研究所)・日高功揮・大内 貫・山田 遼(岩手大学)・小野藍生・佐藤 光・香取拓馬・飯田圭輔・粉川真人(新潟大学)