日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS24] ガスハイドレートと地球環境・資源科学

2015年5月28日(木) 11:00 〜 12:45 102B (1F)

コンビーナ:*戸丸 仁(千葉大学理学部地球科学科)、八久保 晶弘(北見工業大学環境・エネルギー研究推進センター)、森田 澄人(独立行政法人 産業技術総合研究所 地圏資源環境研究部門)、座長:谷 篤史(大阪大学大学院理学研究科)

11:45 〜 12:00

[MIS24-16] メタンハイドレート研究開発における物性評価の重要性と東部南海トラフ海域での圧力コアリングオペレーション

*山本 晃司1長尾 二郎2藤井 哲哉1 (1.独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構、2.独立行政法人産業技術総合研究所)

キーワード:メタンハイドレート, 圧力コア, 水理, 力学, 物性

自然現象であれ、資源開発のための人工的な操作によるものであれ、堆積物中のメタンハイドレートの分解は多孔質媒体中の熱と流体の輸送問題に帰着できる。また、熱の輸送に関しても、移流項の効果が大きいため、流体の移動が大きな影響を与えると予想される。この基本的な物理の問題を複雑にしている要因は、地層が本来的に有する複雑性、これらの輸送問題を支配するパラメータがハイドレート分解によって変化すること、そして、メタンハイドレートを胚胎する軟弱な堆積物の物性が力学的な効果で変化することの3つであると言える。従って、メタンハイドレートからのガス生産技術の研究は、これらの複雑な条件のもとでの水理・熱・力学物性とそれらがどう変化するかを理解することであるとも言える。

メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム(MH21)では、地震探査、物理検層・サンプル取得・原位置試験等を含む掘削調査、室内実験、数値シミュレーション等を通じて、地層中の材料のこれらの物性の値とその分布、それらが分解挙動に与える影響の定量的な評価を、様々な視点で試みてきた。その中でも、実際にメタンハイドレートを含む地質材料を、原位置状態を可能な限り保ったまま取得して分析し、物性値を直接計測することは、特に重要であると言える。


2012年6-7月に、MH21研究コンソーシアムは海洋研究開発機構の地球深部探査船「ちきゅう」を使用して、東武南海トラフ海域の第二渥美海丘のハイドレート濃集区間で、圧力保持型のサンプラーを利用したコアリングを実施し、51m区間から約35mの試料を取得し、その2/3で概ね圧力を保持することができた。

これらの試料は船上で即時解析された上、一部は圧力を保持したまま陸上でよりコントロールされた条件での試験に供された。これらの試験の主眼はハイドレート分解前後の水理及び力学パラメータを取得することであった。また、それらの計測と地質条件の関係が重要なポイントであり、コアの分析から当該地層の形成過程などについて詳細な知見を得ることができた。

これらの研究の一部は日米共同研究として実施された。さらに、その成果はMarine and Petroleum Geology誌の特集号にまとめられて公表される。本発表では、研究の目的、コアリングの作業、分析の流れについて発表する。