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[HDS25-P06] 深層崩壊の誘因の地域性および誘因と地質の関係
キーワード:深層崩壊, 誘因, 地質, 大雨, 強震動
最近、我が国で多発した深層崩壊の事例をみると、西南日本南部の四万十帯と呼ばれる付加体分布地域では、数日間の積算雨量が1000mmを超える大雨で深層崩壊が発生し、東北地方などの火山性堆積物や新第三紀層の分布地域では、内陸型地震による震度6以上の強い揺れで深層崩壊が発生している。これらの事例は、深層崩壊が誘因の地域性に強く影響されることと、深層崩壊の素因(地質)と誘因が密接に関係していることを示唆する。そこで、まず降雨については、全国の確率雨量分布図により、地震については、活断層分布図と過去の地震の震央分布図によって、深層崩壊の誘因の地域性を検討した。次に、降雨による深層崩壊と地震による深層崩壊のメカニズムを介して、それぞれの誘因を増幅したり抑制したりする地質(地盤)の効果を理論的に検討した。その結果、西南日本南部の四万十帯分布地域では、多雨地域であることに加え、岩盤クリープなどにより地表近く(地表から数10mの深度の範囲)に発達した基盤岩の亀裂に浸透水が集中することで、降雨による深層崩壊が発生しやすいと推定された。その反面、活断層が比較的少なく硬岩が多いことから、内陸型・海溝型ともに地震の影響をうけにくく、地震による深層崩壊は発生しにくいと推定された。一方、東北日本の火山性堆積物分布地域では、非多雨地域であることに加え、基盤が多孔質で地下水位が上昇しにくいことから、降雨による深層崩壊は発生しにくいと推定された。その反面、軟岩が比較的多いため揺れやすく、特に内陸型地震による深層崩壊が発生しやすいと推定された。