17:40 〜 17:55
[HDS26-02] 紀伊半島周辺における陸上及び海底地すべりによる波動伝播シミュレーション
キーワード:海底地すべり, 波動伝播, 海底観測, 東南海地震震源域
海洋研究開発機構では、紀伊半島沖の水深1,900-4,400 mの海底に20点から成る地震観測網を2010年に設置した。各海底観測点には広帯域地震計を備えており、観測点周辺で発生した微小地震や低周波微動によるシグナルをこれまでに捉えている。2011年9月には、台風通過に伴って奈良県南部で発生した地すべりによるシグナルを海底で観測することができた(Nakamura et al., 2014)。本研究では、3次元構造を用いて、地すべりに伴う波動伝播のシミュレーションを差分法で試みた。その結果、10秒から20秒の帯域において、走時や波形形状など、海底観測波形を説明できるシミュレーション結果を得ることができた。
本研究では次に、海底地すべりの発生を想定した波動伝播のシミュレーションを試みた。潮岬沖海底谷を震央とし、震源時間関数はYamada et al. (2013)による2011年9月の陸上地すべりの震源解析結果を参考にした。シミュレーションの結果、上下動成分でレイリー波を主成分とする顕著なフェイズの伝播を確認することができた。これは震源が海底付近にあるため、海底から数 km以深で発生する通常の地震の場合と比べて、震源により近い場所で表面波が生成され、大きな振幅を伴って海底観測点まで伝播したためと考えられる。また、海水層の有無によって、レイリー波の波形形状や振幅に顕著な違いが生じることが分かった。これはレイリー波の位相速度や群速度、分散性が海水層の厚さに大きく依存していることと関係する。海水層を取り除き、空気層に置き換えた構造モデルの場合と比べ、海水層を取り入れたより現実に近いモデルのシミュレーションでは、振幅値が4倍以上大きくなる海底観測点があった。これらの結果は、海底観測点データを使った海底地すべりの規模やメカニズム推定などの震源解析を行うにあたって、海水層の影響を正しく考慮する必要があることを示唆する。
本研究では次に、海底地すべりの発生を想定した波動伝播のシミュレーションを試みた。潮岬沖海底谷を震央とし、震源時間関数はYamada et al. (2013)による2011年9月の陸上地すべりの震源解析結果を参考にした。シミュレーションの結果、上下動成分でレイリー波を主成分とする顕著なフェイズの伝播を確認することができた。これは震源が海底付近にあるため、海底から数 km以深で発生する通常の地震の場合と比べて、震源により近い場所で表面波が生成され、大きな振幅を伴って海底観測点まで伝播したためと考えられる。また、海水層の有無によって、レイリー波の波形形状や振幅に顕著な違いが生じることが分かった。これはレイリー波の位相速度や群速度、分散性が海水層の厚さに大きく依存していることと関係する。海水層を取り除き、空気層に置き換えた構造モデルの場合と比べ、海水層を取り入れたより現実に近いモデルのシミュレーションでは、振幅値が4倍以上大きくなる海底観測点があった。これらの結果は、海底観測点データを使った海底地すべりの規模やメカニズム推定などの震源解析を行うにあたって、海水層の影響を正しく考慮する必要があることを示唆する。