日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

インターナショナルセッション(口頭発表)

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS03] Exploring the role of soil in earth science: ecological/biogeochemical linkage and beyond

2015年5月27日(水) 14:15 〜 16:00 104 (1F)

コンビーナ:*和穎 朗太(農業環境技術研究所 物質循環研究領域)、小崎 隆(首都大学東京)、座長:和穎 朗太(農業環境技術研究所 物質循環研究領域)

14:30 〜 14:45

[MIS03-10] メタトランスクリプトーム解析から見た水田土壌の炭素・窒素循環とそれを駆動する微生物

*田伏 曜子1伊藤 英臣2白鳥 豊3磯部 一夫1大塚 重人1妹尾 啓史1 (1.東京大学大学院農学生命科学研究科、2.産業技術総合研究所 北海道センター、3.新潟県農業総合研究所)

キーワード:土壌微生物群集, メタトランスクリプトーム, バイオインフォマティクス, 水田, 炭素窒素循環

水田土壌は水管理により大きな環境変動を受ける。土壌が湛水されると大気から土壌への酸素の供給が緩やかになり、日数の経過とともに表層において酸化層と還元層の分化が起こる。酸化層では好気的環境が維持されており、硝化・メタン酸化などの酸化反応が進行する。還元層は、土壌への酸素の供給速度よりも土壌中での消費速度が上回り、次第に酸素が枯渇して嫌気的な環境が形成される層である。この過程において、脱窒・マンガン還元・鉄還元・硫酸還元・メタン生成といった異化的な還元反応が逐次的に進行する。主として微生物によって駆動されるこれらの酸化還元反応は土壌中の炭素・窒素などの物質循環に重要であり、土壌の肥沃度、水稲生育、地域・地球環境と深く関わっている。従って、水田土壌で活発な微生物群集や、物質循環に関わる機能遺伝子群の転写状況と多様性、それらの変遷を詳細に明らかにすることで、水稲生産性の維持向上や環境保全につながる基礎的知見が得られると期待される。
 本研究では、水田から経時的に採取した酸化層・還元層それぞれの土壌について土壌RNAの超大規模シーケンス解析(メタトランスクリプトーム解析)を行った。rRNA解析から各層において活発な微生物群集の構造と変動を、mRNA解析から炭素・窒素循環に関わる機能遺伝子の転写量、持ち主と推定される微生物群とその変動を調べた。メタトランスクリプトーム解析から見えてきた水田土壌微生物と炭素・窒素循環について報告する。