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[SVC45-P10] 静岡県裾野市十里木の坑井試料に基づく富士山、愛鷹山、基盤の分布と岩石学的特徴
キーワード:富士山, 愛鷹山, 基盤
富士山は日本を代表とする活火山であり,多くの学術研究が行われてきたが,開析が進んでいないために,基盤深度や山体の構造に関する直接観察に基づくデータは,Tsuya(1962)など極めて限られているのが現状である.
本研究では,富士山,愛鷹山,基盤の分布と岩石鉱物学的特徴を明らかにすることを目的として,富士山と愛鷹山の間に位置する静岡県裾野市十里木で掘削された十里木温泉井(北緯35.2609度,東経138.7898度,海抜約900m,全掘削深度1500m)の解析を行った.
十里木温泉井から得られた1500m分のカッティング試料を土壌,変質の度合い,電気検層などに基づき,ユニットⅠ~Ⅳの4つに区分した.ユニットⅠは深度0~220m(海抜約680~900m),ユニットⅡは深度220m~510m(海抜約390~680m),ユニットⅢは深度510m~980m(海抜約390~-80m),ユニットⅣは980~1500m(海抜約‐80~‐600m)に分布する.また,それらの代表的な試料について,XRFによる全岩の主要微量元素分析と,輝石やかんらん石斑晶のEPMAによる分析などを実施した.
ユニットⅠ~Ⅲは主に灰~黒色の玄武岩~安山岩質の溶岩で構成される.溶岩の斑晶量はほとんどの場合3%~15%ほどであるが430m付近では35%になる部分もある.構成鉱物はモード組成で,斜長石(1~35%)が普遍的に観察され,斜方輝石(0~3%),単斜輝石(0~3%),かんらん石(0~1%),不透明鉱物(0~1%)が観察された.全岩化学組成の結果からユニットⅡ,Ⅲは似たような組成を持ち,ユニットⅠは他のユニットに比べて,TiO2,Fe2O3,CaO ,Co,Cu,V,Y,Zn,Zrが高く,Na2Oが低いことが分かった.またユニットⅡ,Ⅲは主要元素,微量元素共に,愛鷹山(藤井,未公表)の全岩化学組成とよく一致した.以上の様な化学組成の結果と富士山の溶岩の化学組成の特徴(富樫・高橋,2011)との比較から,ユニットⅠは富士山の噴出物,ユニットⅡ,Ⅲは愛鷹山の噴出物と対比した.
ユニットⅣは多くの部分で熱水変質を受けた火山岩や火山砕屑岩から構成されており,新第三紀の地層と考えられる.変質鉱物としては緑泥石,緑簾石,濁沸石,束沸石,方沸石が産出しており,中性で100℃以下から200℃前後の幅広い温度条件における熱水変質作用が認められた.以上のような特徴からユニットⅣは基盤と対比した.
約海抜‐80m以深から基盤が見られるという結果は,Tsuya(1962)の海抜約+80m以深から基盤が見られるという研究結果と類似している.
本研究では,富士山,愛鷹山,基盤の分布と岩石鉱物学的特徴を明らかにすることを目的として,富士山と愛鷹山の間に位置する静岡県裾野市十里木で掘削された十里木温泉井(北緯35.2609度,東経138.7898度,海抜約900m,全掘削深度1500m)の解析を行った.
十里木温泉井から得られた1500m分のカッティング試料を土壌,変質の度合い,電気検層などに基づき,ユニットⅠ~Ⅳの4つに区分した.ユニットⅠは深度0~220m(海抜約680~900m),ユニットⅡは深度220m~510m(海抜約390~680m),ユニットⅢは深度510m~980m(海抜約390~-80m),ユニットⅣは980~1500m(海抜約‐80~‐600m)に分布する.また,それらの代表的な試料について,XRFによる全岩の主要微量元素分析と,輝石やかんらん石斑晶のEPMAによる分析などを実施した.
ユニットⅠ~Ⅲは主に灰~黒色の玄武岩~安山岩質の溶岩で構成される.溶岩の斑晶量はほとんどの場合3%~15%ほどであるが430m付近では35%になる部分もある.構成鉱物はモード組成で,斜長石(1~35%)が普遍的に観察され,斜方輝石(0~3%),単斜輝石(0~3%),かんらん石(0~1%),不透明鉱物(0~1%)が観察された.全岩化学組成の結果からユニットⅡ,Ⅲは似たような組成を持ち,ユニットⅠは他のユニットに比べて,TiO2,Fe2O3,CaO ,Co,Cu,V,Y,Zn,Zrが高く,Na2Oが低いことが分かった.またユニットⅡ,Ⅲは主要元素,微量元素共に,愛鷹山(藤井,未公表)の全岩化学組成とよく一致した.以上の様な化学組成の結果と富士山の溶岩の化学組成の特徴(富樫・高橋,2011)との比較から,ユニットⅠは富士山の噴出物,ユニットⅡ,Ⅲは愛鷹山の噴出物と対比した.
ユニットⅣは多くの部分で熱水変質を受けた火山岩や火山砕屑岩から構成されており,新第三紀の地層と考えられる.変質鉱物としては緑泥石,緑簾石,濁沸石,束沸石,方沸石が産出しており,中性で100℃以下から200℃前後の幅広い温度条件における熱水変質作用が認められた.以上のような特徴からユニットⅣは基盤と対比した.
約海抜‐80m以深から基盤が見られるという結果は,Tsuya(1962)の海抜約+80m以深から基盤が見られるという研究結果と類似している.