日本地球惑星科学連合2015年大会

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[O-01] ジオパークへ行こう

2015年5月24日(日) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*渡辺 真人(産業技術総合研究所地質情報研究部門)

18:15 〜 19:30

[O01-P38] 萩ジオパーク構想~火山に育まれた萩の大地で地球の歴史3億年を学び・今に活かし・未来へ伝える~

*伊藤 靖子1福島 康行1平田 敏郎1樋口 尚樹2 (1.萩市役所総合政策部企画政策課ジオパーク推進室、2.萩博物館)

萩ジオパーク構想の対象エリアである山口県萩市は、その陸地面積の95%以上がいろいろな時代のマグマの活動によって作られた岩石や地層でできています。
萩で最も古い岩石は約3億年前の石灰岩です。まだ日本列島が存在しなかった時代のアジア大陸の海溝に落ち込んだ火山島とその上に成長したサンゴ礁が長い年月をかけ地上に現れたものです。また、中央海嶺を含む海洋プレートの沈み込みに伴って、約1億年前に起こったアジア大陸での超大規模火山活動により噴出した火砕流や火山灰、溶岩と地表に現れたマグマ溜りが固まった岩石が萩の大地の土台となっています。また、4300万年から3000万年前にもリング状の割れ目から火砕流や溶岩を流しカルデラをつくる大規模噴火が起こりました。
約2200万年から1500万年前に大陸が分裂して移動し、日本列島ができました。約1650万年から約1500万年前、日本海で最初に堆積した地層の中には玄武岩マグマ(斑レイ岩)が貫入しました。そのマグマの熱によって地層が焼かれて、もとの岩石とは全く違った鉱物の組み合わせと見え方が異なる岩石(ホルンフェルス)ができました。現在、「須佐・高山」のふもとではこの一連の過程を見ることができます。1200万年前に引き伸ばされた大陸プレートの割れ目から玄武岩マグマが噴火してできた火山島「見島」は、大きな溶岩台地の一部ですが火山の成り立ちを観察することができます。
約200万年前から1万年前にかけて噴火した活火山・阿武火山群は日本にはめずらしい火山で、世界でも珍しい小さな玄武岩の溶岩台地、安山岩~デイサイトの小さな溶岩台地を見ることができます。最も新しい火山である「笠山」のスコリア丘の噴火口には車で行くことができ、海岸に下りると溶岩流の流れた様子も観察できます。また、山頂からの景色は、萩一億年の歴史を物語っています。激しいストロンボリ式噴火をした「伊良尾火山」では、「龍が通った道」としてジオストーリーが生まれています。そして萩三角州は、山口県と島根県の県境に点在する青野山火山群の堰止湖が決壊してできた阿武川がもたらした土砂が4500年前から堆積したものです。
阿武火山群が作った土地を中心に、農作物や畜産、漁場として、火山はさまざまな恵みをもたらしています。2013年7月28日萩市東部を集中豪雨が襲い、甚大な被害がもたらされ、今一度自らの住む場所・環境について学び、将来に向けどう活用していくのか、考えるきっかけとなりました。
萩ジオパーク構想は、市民自らが、地質遺産を学び、楽しみ、次代に伝えていく「しくみ」をつくり、日本ジオパーク認定を目指します。