日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI37] 情報地球惑星科学と大量データ処理

2015年5月27日(水) 15:15 〜 16:00 203 (2F)

コンビーナ:*豊田 英司(気象庁予報部数値予報課)、若林 真由美(基礎地盤コンサルタンツ株式会社)、野々垣 進(独立行政法人 産業技術総合研究所 地質情報研究部門 情報地質研究グループ)、豊田 英司(気象庁予報部数値予報課)、村田 健史(情報通信研究機構)、寺薗 淳也(会津大学)、堀 智昭(名古屋大学太陽地球環境研究所 ジオスペース研究センター)、大竹 和生(気象庁気象大学校)、堀之内 武(北海道大学地球環境科学研究院)、座長:堀之内 武(北海道大学地球環境科学研究院)、村田 健史(情報通信研究機構)

15:30 〜 15:45

[MGI37-02] 多点地上GNSS受信機による電離圏観測システム

*西岡 未知1津川 卓也1山本 和憲1丸山 隆1石井 守1 (1.(独)情報通信研究機構)

キーワード:GNSS観測, 電離圏, 予測モデル, 全電子数, リアルタイムモニタリング

情報通信研究機構(NICT)では、NICTサイエンスクラウドを活用し、国内外の多点GNSS受信機網データを自動収集・処理する電離圏全電子数(Total Electron Content: TEC)観測システムを構築・運用している。収集する地上GNSS観測点は、2015年1月現在、国内外で約7,000点以上におよぶ。特に観測点が密に分布する日本・北米・欧州では、高密度・高時間分解能の2次元TECマップの作成が可能であり、数100km~数1,000kmスケールの電離圏擾乱現象の全体像が明らかになってきた。これらのTECマップは、全球版のTECマップと共にアーカイブ化され、ウェブサイトで公開されている(http://seg-web.nict.go.jp/GPS/DRAWING-TEC/)。
 国内TECマップは現在、数日遅れで公開される確定版、および数時間遅れで公開される準リアルタイム版が利用可能であるが、より遅延時間の少ないリアルタイム版を試作中である。また、国内TEC変動の予測を実現するため、過去約20年間に蓄積された膨大な量のTECデータを用い、国内TECの経験モデルの構築も行っている。電離圏生成の鍵となる太陽極端紫外線、太陽風観測データ、地磁気擾乱等の指標を入力として、約20年分のTECデータを用いて学習させ、人工ニューラルネットワーク(ANN)を構築した。構築されたANNを用い、24時間以内のTEC予測値の算出に成功している。本発表では、多点地上GNSS受信機による電離圏観測システムについて紹介しつつ、現在開発中の日本上空TEC経験モデルやTEC観測システムのリアルタイム化の状況を報告する。