16:48 〜 16:51
[PPS24-P02] 超伝導NbTiNを集積した1.9THz帯導波管型ホットエレクトロンボロメータ・ミクサ検出素子の開発
ポスター講演3分口頭発表枠
キーワード:テラヘルツ天文学, 星間ガス, 惑星大気, ヘテロダイン分光, 超伝導検出器
星間ガスや惑星大気の分子・原子・イオンの多くが、ミリ-サブミリ波帯において回転・振動・微細構造線などのスペクトル線を放射している。電波天文学で採用するこの波長域のヘテロダイン分光の手法は、高い周波数分解能(∆f/f> 106)の特徴を有し、星間ガスや星形成領域、惑星大気のダイナミクスや密度、温度、組成などの基本的な物理・化学的状態を探る強力なツールとなっている。ただし、1 THzを超えてくると、これまで威力を発揮してきた超伝導SIS検出素子はクーパー対が破壊されて動作原理上機能しなくなるため、未開拓の観測波長領域となっていた。こうした中、超伝導ホットエレクトロンボロメータ(HEB)ミクサ素子は次世代の高感度ヘテロダイン検出素子として着目されている。
我々は現在、1.8-2 THz帯HEBミクサ素子の開発を進めている。この波長域には、地球・惑星大気中のOHラジカル、星間ガス中の炭素イオンや酸素原子、その他の高励起スペクトル線が沢山眠っている。この素子の心臓部である超伝導細線には、我々のプロセスにおいて性能実績のあるNbTiN薄膜をin situの手法により集積する。また、フィードは、従来の準光学型から、ビームパターンの優れた導波管/ホーン型へと改良する。素子チップとのインピーダンス整合の設計には3次元高周波電磁界シミュレーターHFSSを用いて行った。また、光学伝送の設計はGRASPソフトウエアを用いた。このHEB素子の基板チップの最適サイズは幅44 μm、厚み19 μmと非常に微細となる。そこで、ダイシング装置やマルチプレップ研磨システムを用いて実際にチップを試作し、膜応力によるチップの反りや、加工時のクラック、その他ワイヤーボンディングなどのハンドリングなどの検証も行った。この結果、歩留りは90%以上を達成し、実用に耐えるチップの微細化が充分に可能であることを確認した。この素子を実装するチップスロット/導波管、ホーンアンテナの微細加工も今回初めての試みとなるが、マシンニングによる切削の目処がたっている。本講演ではこの新しい1.9THz帯HEBミクサ検出素子の設計・開発の進捗について講演を行う。
我々は現在、1.8-2 THz帯HEBミクサ素子の開発を進めている。この波長域には、地球・惑星大気中のOHラジカル、星間ガス中の炭素イオンや酸素原子、その他の高励起スペクトル線が沢山眠っている。この素子の心臓部である超伝導細線には、我々のプロセスにおいて性能実績のあるNbTiN薄膜をin situの手法により集積する。また、フィードは、従来の準光学型から、ビームパターンの優れた導波管/ホーン型へと改良する。素子チップとのインピーダンス整合の設計には3次元高周波電磁界シミュレーターHFSSを用いて行った。また、光学伝送の設計はGRASPソフトウエアを用いた。このHEB素子の基板チップの最適サイズは幅44 μm、厚み19 μmと非常に微細となる。そこで、ダイシング装置やマルチプレップ研磨システムを用いて実際にチップを試作し、膜応力によるチップの反りや、加工時のクラック、その他ワイヤーボンディングなどのハンドリングなどの検証も行った。この結果、歩留りは90%以上を達成し、実用に耐えるチップの微細化が充分に可能であることを確認した。この素子を実装するチップスロット/導波管、ホーンアンテナの微細加工も今回初めての試みとなるが、マシンニングによる切削の目処がたっている。本講演ではこの新しい1.9THz帯HEBミクサ検出素子の設計・開発の進捗について講演を行う。