日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS21] 大気化学

2015年5月27日(水) 16:15 〜 18:00 201B (2F)

コンビーナ:*澤 庸介(気象研究所海洋・地球化学研究部)、竹川 暢之(首都大学東京 大学院理工学研究科)、金谷 有剛(独立行政法人海洋研究開発機構地球環境変動領域)、高橋 けんし(京都大学生存圏研究所)、谷本 浩志(国立環境研究所)、座長:中山 智喜(名古屋大学 太陽地球環境研究所)

16:54 〜 16:57

[AAS21-P04] ナノ粒子用エアロダイナミックレンズの開発と初期評価

ポスター講演3分口頭発表枠

*大竹 啓記1竹川 暢之1 (1.首都大学東京)

キーワード:エアロゾル, ナノ粒子, エアロダイナミックレンズ, 質量分析

エアロゾルのうち粒径が100 nm以下のナノ粒子の化学組成は、粒子の生成過程を理解する上で重要な要素の一つである。しかしながら、ナノ粒子の質量濃度は極微量であるため、その捕集・分析には様々な困難が伴う。その解決方法のひとつとしてナノ粒子を細いビーム状に整流し、質量分析計のイオン化部に高効率で導入するエアロダイナミックレンズ (ADL) を利用する方法があげられる。先行研究ではナノ粒子用ADLの報告例はあるが、実大気観測にそのまま適用することは容易ではない。我々は、従来のエアロゾル質量分析計に用いられてきたサブミクロン用ADLの利点を生かした改良型ナノ用ADLの試作を行い、その初期評価を行った

実験室で粒子透過率の評価を行うために、オレイン酸の凝縮による粒子生成システムを製作した。発生させた粒子を分級して単分散とし、従来のサブミクロン用ADLおよび改良型ナノ用ADLに導入した。検出はファラデーカップを用いて行い、ナイフエッジで粒子ビームを遮蔽しながら透過率や広がりを測定した。

 サブミクロン用ADLについては、粒径100 nm程度以上で透過率がほぼ100%となるような分布が得られた。一方、ナノ用ADLでは50 nm付近で透過率がほぼ100%となり、それより大きい粒径では減衰するような分布が得られており、ナノ粒子測定により適した性能となっていることが示された。発表では、エアロゾル質量分析への適用可能性についても議論する。