17:30 〜 17:45
[AAS22-12] 宇宙・天文観測技術を応用した大気熱力学場観測装置
キーワード:大気水蒸気量, 電波放射計, 大気熱力学場
近年頻発する局地的な大雨や積乱雲下で生じる竜巻、大雪などに代表されるように、自然災害への対策が強く求められている。これらの被害を最小限にとどめるためには、高精度な予報・ナウキャストの情報を用いた適切な災害対策の実施が必要不可欠であり、急激に変化する大気の熱力学場や雲の特性を高頻度・高精度に観測・解析することが必要である。
現在、電波天文観測技術を応用した大気場観測装置の開発を行っている。大気中に存在する水分子輝線(20 - 30 GHz 帯)ならびに酸素分子輝線(50 - 60 GHz 帯)のマルチバンド受信システムによって、大気の熱力学場や雲物理量の推定を数分以内で行う。これにより、激しい大気現象が発生する前の熱力学場の急激な不安定化や、雲物理量の変化を高頻度に解析することができる。これは激しい大気現象の発生前環境場の短時間変動の解明だけでなく、観測輝度温度データとの比較解析による現象の予測精度向上をもたらす。また、広域な全天観測を短時間で繰り返し行うためには高感度受信機の採用が必要不可欠である。機械式冷凍機を用いた冷却受信機を採用して、高感度化(熱雑音低減)を達成する。宇宙・天文観測用に開発した技術を転用することで、既存のシステムと比較してスキャニング時間の大幅な短縮を実現する。
本講演では、システムの概要ならびに試作機である22 GHz帯冷却受信機の評価試験の現状を報告する。さらに、複数台での三角観測等による三次元マッピングから正確な水蒸気分布の観測プランや、90・150 GHz帯の放射観測による氷水量の推定の計画などについても言及する。
なお、本研究は文部科学省・大学発新産業創出拠点プロジェクト「START」(http://www.jst.go.jp/start/)に平成26年度より採択され、その援助のもとに開発を行っている。
現在、電波天文観測技術を応用した大気場観測装置の開発を行っている。大気中に存在する水分子輝線(20 - 30 GHz 帯)ならびに酸素分子輝線(50 - 60 GHz 帯)のマルチバンド受信システムによって、大気の熱力学場や雲物理量の推定を数分以内で行う。これにより、激しい大気現象が発生する前の熱力学場の急激な不安定化や、雲物理量の変化を高頻度に解析することができる。これは激しい大気現象の発生前環境場の短時間変動の解明だけでなく、観測輝度温度データとの比較解析による現象の予測精度向上をもたらす。また、広域な全天観測を短時間で繰り返し行うためには高感度受信機の採用が必要不可欠である。機械式冷凍機を用いた冷却受信機を採用して、高感度化(熱雑音低減)を達成する。宇宙・天文観測用に開発した技術を転用することで、既存のシステムと比較してスキャニング時間の大幅な短縮を実現する。
本講演では、システムの概要ならびに試作機である22 GHz帯冷却受信機の評価試験の現状を報告する。さらに、複数台での三角観測等による三次元マッピングから正確な水蒸気分布の観測プランや、90・150 GHz帯の放射観測による氷水量の推定の計画などについても言及する。
なお、本研究は文部科学省・大学発新産業創出拠点プロジェクト「START」(http://www.jst.go.jp/start/)に平成26年度より採択され、その援助のもとに開発を行っている。