日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

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[U-06] 宇宙・太陽から地球表層までのシームレスな科学の新展開

2015年5月24日(日) 11:00 〜 12:45 105 (1F)

コンビーナ:*松見 豊(名古屋大学太陽地球環境研究所)、草野 完也(名古屋大学太陽地球環境研究所)、石坂 丞二(名古屋大学地球水循環研究センター)、坪木 和久(名古屋大学・地球水循環研究センター)、榎並 正樹(名古屋大学 年代測定総合研究センター)、座長:水野 亮(名古屋大学太陽地球環境研究所)、塩川 和夫(名古屋大学太陽地球環境研究所)

12:20 〜 12:40

[U06-11] 宇宙天気予報における対流圏情報の必要性について

*石井 守1 (1.情報通信研究機構)

キーワード:宇宙天気

宇宙天気現象は太陽を主な起源とする電磁環境擾乱であり、その社会生活に与える影響が近年様々な分野で議論となってきている。特にこれまでは太陽地球環境科学の中での学術的な議論が中心だったが、近年通信・放送・測位・あるいは航空運用、電力などの社会インフラの運用での議論が盛んになってきた。
 ユーザーから見た場合には、障害の原因がどこにあるか以上に、その影響がどの程度であり、今後どの程度継続するのかが重要となる。もちろんこの2つの課題は相互に深く関連しており、障害の原因を理解することがその程度及び継続時間の予測に必要なことは言うまでもない。加えて、太陽・惑星間空間・磁気圏・電離圏などのこれまで想定してきた領域以外の影響も含めて検討しなければユーザーの要求に十分に答えることはできない。
 たとえば、衛星測位の最大の誤差要因は電離圏遅延と言われているが、対流圏の水蒸気遅延も有意な量存在する。またこれを利用したいわゆる“GPS気象学”も盛んに研究されてきている。
 NICTで開発している大気圏・電離圏結合モデル“GAIA”においても、今後水蒸気の扱いを精緻にしていくことにより、その精度を高度化していくことが期待できる。
 また、ミリ波等近年利用が高まる周波数帯では降雨減衰の効果が大きく、広く電波利用を検討する際には対流圏の情報が重要なことは言うまでもない。今後、対流圏水蒸気を含めた宇宙天気予報モデルの構築が必要になっていく可能性は高いと思われる。
 講演では、特に対流圏水循環を宇宙天気利用の中で考慮した際のメリットについて検討する。