日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT54] 合成開口レーダー

2015年5月25日(月) 09:00 〜 10:45 201A (2F)

コンビーナ:*山之口 勤(一般財団法人 リモート・センシング技術センター)、小林 知勝(国土交通省国土地理院)、宮城 洋介(防災科学技術研究所)、座長:山之口 勤(一般財団法人 リモート・センシング技術センター)、小林 知勝(国土交通省国土地理院)

10:33 〜 10:36

[STT54-P02] RINCによるPALSAR-2/InSAR解析

ポスター講演3分口頭発表枠

*小澤 拓1宮城 洋介1 (1.防災科学技術研究所)

キーワード:PALSAR-2, 干渉解析, SAR解析ツール, 口永良部島, 御嶽山, 長野県北部の地震

陸域観測技術衛星「だいち2号」(ALOS-2)は2014年5月24日に打ち上げられ,11月25日からALOS-2に搭載された合成開口レーダー(センサー名:PALSAR-2)データの定常配布が開始された.一方,我々はPALSAR-2等のデータを用いた高度SAR解析手法の研究に向けて,SAR干渉解析ツール(RINC)の開発を進めている(e.g., 小澤,2014).本発表においては,RINCによるPALSAR-2データを用いたSAR干渉解析の事例を紹介する.
PALSAR-2は,高分解能(Stripmap),広域観測(ScanSAR),スポットライトの3つの観測モードを有している.高分解能モードのデータを用いたSAR干渉解析では,ほとんどの干渉ペアにおいて高い干渉性が得られており,データに格納されている衛星軌道情報に基づいて地形・軌道縞成分をシミュレートすることにより,それらの成分はおおよそ除去できた.2014年8月に噴火した口永良部島や2014年9月に噴火した御嶽山についてSAR干渉解析を適用したところ,火口周辺に地表変動によると思われる位相変化が検出された.小笠原硫黄島に関するSAR干渉解析においては,時空間的に複雑に変化する地殻変動を捉えた.2014年11月22日に発生した長野県北部の地震に関するSAR干渉解析においては地震に伴う地殻変動を検出することができた.
広域観測モード(490km観測幅)による関東・中部地方の1ペアについてSAR干渉解析を試みたところ,干渉性は低いものの,ほぼ全域で干渉が得られた.また,スワス間での顕著な位相のギャップは見られなかった.しかし,差分SAR干渉画像においては,長波長の位相差成分が残った.スポットライトモードによる小笠原硫黄島のデータを解析したところ,高い干渉は得られたものの,位相が急激に変化するギャップが見られた.これらの問題は,地表変動データとして用いる上では重要であり,今後の解決が必要である.