日本地球惑星科学連合2015年大会

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ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM27] 大気圏・電離圏

2015年5月26日(火) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*大塚 雄一(名古屋大学太陽地球環境研究所)、津川 卓也(情報通信研究機構)、川村 誠治(独立行政法人 情報通信研究機構)

18:15 〜 19:30

[PEM27-P28] 北米のGPS受信機網観測に基づく中規模伝搬性電離圏擾乱の経度依存性に関する統計的研究

*山脇 景太1大塚 雄一1塩川 和夫1津川 卓也2西岡 未知2 (1.名古屋大学太陽地球環境研究所、2.情報通信研究機構)

キーワード:中規模伝播性電離圏擾乱, 全地球測位網, スポラディックE層, 経度依存性

本研究では,北米のGPS受信機網を用いて中規模伝搬性電離圏擾乱(Medium-Scale Traveling Ionospheric Disturbance; MSTID)の性質を統計的に明らかにし,先行研究の結果と比較した.
地上受信機とGPS衛星間における電波の遅延量から,電離圏の全電子数(Total Electron Content; TEC)が得られる.得られたTECから作成された水平二次元分布図を用いて, 2013年の北米上空におけるMSTIDの統計解析を行った.北米全土におけるTECの水平二次元分布図を用いたMSTIDの統計解析は,本研究が初である.その結果,以下のことが明らかになった.

1. 北米上空のMSTIDの発生頻度は,日中(8時~20時)において冬季(11月~3月)に高く,伝搬方向は南東方向が支配的であった.この冬季の日中にMSTIDの発生頻度が高いという特徴は,中緯度地域における先行研究の結果に一致するものであり,大気重力波がMSTID成因の原因であると考えられる.

2. 夜間(22時~6時)におけるMSTIDは,夏季(5月~8月)に発生頻度が高く,その伝搬方向は南西方向が支配的であった.この特徴は先行研究の結果に見られ,その成因はパーキンス不安定によるものであると考えられる.
  
3. 1年を通して朝方にMSTIDの発生頻度が高かった.伝搬方向は東方向が支配的であり,その発生原因は日出線で生成される重力波の可能性が考えられる.

4. 夏季(5月~6月)において,北米西部のほうが東部よりも夜間のMSTIDの発生頻度が高く,約20%もの差が見られた.先行研究により夜間MSTIDとES層との関係が示されている.低軌道衛星による掩蔽観測により,北米上空においてES層の発生頻度は西部のほうが東部より高いことが示されており,本研究の結果はMSTIDの生成にES層との結合が重要な役割を果たしていることを示唆するものであった.