15:45 〜 16:00
★ [U04-11] ナノポーラスシリカへのイオン吸着に及ぼす間隙サイズの影響
キーワード:イオン吸着, 表面電荷, 電気二重層, シリカ, ナノ間隙
鉱物表面のイオン吸着特性の理解は、資源や有毒元素の移動・濃集過程を考える上で不可欠である。表層環境では、ナノサイズの微小な間隙(ナノ間隙)がしばしば見られる。風化・熱水変質作用に起因するエッチピットや、微細な粘土鉱物や鉄酸化物の集合体がその例として挙げられる。ナノ間隙では、鉱物-水界面の電気二重層が十分に発達できないことが予想され、イオン吸着特性が間隙径によって変化する可能性がある。そこで本研究では、間隙径がイオン吸着特性に及ぼす影響を評価した。
試料には、間隙径の異なる2種類のナノポーラスシリカ粉末(CARiACT Q, Fuji Silysia)を用いた。間隙半径は25 nm(比表面積:72 m2/g)と、1 nm(比表面積:660 m2/g)である。まず、各半径の間隙の表面がどの程度帯電しているか(表面電荷密度)を調べるために、NaCl 1 mM溶液中で酸/塩基滴定実験を行った。シリカの表面シラノール基は、pHが中性~アルカリ性の環境下で、H+の吸脱着反応:>Si-OH ↔ >Si-O- + H+と、Na+の吸脱着反応:>Si-OH + Na+ ↔ >Si-O-…Na+ + H+が起こり、負に帯電する。半径25 nmと1 nmの間隙表面の電荷密度を比較したところ、間隙径が小さいものほど、表面電荷がゼロに近付いた。これは、細い間隙ほど、表面シラノール基がH+を脱離しにくい性質をもつことを意味している。
より細い間隙をもつシリカでは、表面電荷がゼロに近付くため、イオンの吸着量が減少することが予想される。このことを検証するために、半径25 nmと1 nmの間隙をもつシリカ粉末を用いてK+イオンの吸着実験を行った。NaCl 0.1 mM溶液に0.006 mM のK+イオンとシリカ粉末を入れ、pHを4.0, 4,5, 5.6, 6.4, 7.3, 8.2に調整した後に約30分撹拌し、上澄み溶液を回収した。回収した溶液はフィルター(0.20 μm)にかけ、イオンクロマトグラフによりK+イオン濃度を測定した。その結果、半径1 nmの間隙表面へのK+の吸着量は、半径25 nmの間隙と比べて最大で2倍以上減少した。本研究の結果は、ナノ間隙をもつ鉱物へのイオン吸着を考える上で、間隙径の効果の重要性を示している。
試料には、間隙径の異なる2種類のナノポーラスシリカ粉末(CARiACT Q, Fuji Silysia)を用いた。間隙半径は25 nm(比表面積:72 m2/g)と、1 nm(比表面積:660 m2/g)である。まず、各半径の間隙の表面がどの程度帯電しているか(表面電荷密度)を調べるために、NaCl 1 mM溶液中で酸/塩基滴定実験を行った。シリカの表面シラノール基は、pHが中性~アルカリ性の環境下で、H+の吸脱着反応:>Si-OH ↔ >Si-O- + H+と、Na+の吸脱着反応:>Si-OH + Na+ ↔ >Si-O-…Na+ + H+が起こり、負に帯電する。半径25 nmと1 nmの間隙表面の電荷密度を比較したところ、間隙径が小さいものほど、表面電荷がゼロに近付いた。これは、細い間隙ほど、表面シラノール基がH+を脱離しにくい性質をもつことを意味している。
より細い間隙をもつシリカでは、表面電荷がゼロに近付くため、イオンの吸着量が減少することが予想される。このことを検証するために、半径25 nmと1 nmの間隙をもつシリカ粉末を用いてK+イオンの吸着実験を行った。NaCl 0.1 mM溶液に0.006 mM のK+イオンとシリカ粉末を入れ、pHを4.0, 4,5, 5.6, 6.4, 7.3, 8.2に調整した後に約30分撹拌し、上澄み溶液を回収した。回収した溶液はフィルター(0.20 μm)にかけ、イオンクロマトグラフによりK+イオン濃度を測定した。その結果、半径1 nmの間隙表面へのK+の吸着量は、半径25 nmの間隙と比べて最大で2倍以上減少した。本研究の結果は、ナノ間隙をもつ鉱物へのイオン吸着を考える上で、間隙径の効果の重要性を示している。