日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC46] 火山噴火のダイナミクスと素過程

2015年5月25日(月) 11:00 〜 12:45 304 (3F)

コンビーナ:*小園 誠史(東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻)、鈴木 雄治郎(東京大学地震研究所)、奥村 聡(東北大学大学院理学研究科地学専攻地球惑星物質科学講座)、座長:小園 誠史(東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻)

12:32 〜 12:35

[SVC46-P13] デコンボリューションを利用した噴火地震の相対震源決定―ストロンボリ火山への適用―

ポスター講演3分口頭発表枠

*杉村 俊輔1西村 太志1青山 裕2山田 大志2藤田 英輔3川口 亮平3三輪 学央3 (1.東北大学大学院理学研究科、2.北海道大学大学院理学研究院、3.防災科学技術研究所)

キーワード:震源決定, 噴火地震, マスターイベント法, デコンボリューション, ストロンボリ火山

ストロンボリ式噴火やブルカノ式噴火では,開口型火口から数分~数十分,あるいは数時間以上の間隔でマグマを噴出するのに伴い,噴火地震が繰り返し観測される.しかしながら,これらの地震のほとんどは,P波,S波の位相が不明瞭であるため,波の到達時刻を利用する一般的な震源決定は困難である.そこで,本研究ではデコンボリューションと相対震源決定法を組み合わせた相対震源決定をストロンボリ火山のデータに対して行った.
東北大学とフィレンツェ大学により,2014年5月からストロンボリ火山の火口極近傍に傾斜計が3点設置された.今回,これらの傾斜計により記録された,噴火地震に伴う0.5s程度の短周期の波形を解析に用いる.同一火口から繰り返し起こる噴火地震は,観測点ごとに観測波形が良く似ているという特徴がある.そこで,デコンボリューション法を用いて各観測点でのマスターイベントとスレーブイベントの地震波到達の時刻差を読み取る.デコンボリューション波形は,周波数領域でスレーブイベントの波形をマスターイベントの波形で割り算し,そのスペクトルを時間領域に変換して得る. 2観測点間でその読み取り値の差は,マスターイベントにおける2観測点間の地震波到達の時刻差と,スレーブイベントにおける2観測点間の地震波到達の時刻差との差に相当する.この差は,地震波の発震時刻の差が消去されており,マスターイベントとスレーブイベントの相対位置の一次関数で表される.これより,その相対位置を最小二乗法で求める.
本研究では,2014年7月1日0:00~3:00までに発生した,全ての観測点で振幅が20μrad以上を記録した噴火地震31個を解析した.その期間の中で最初に発生したイベントをマスターイベントとし,スレーブイベントの震源を求めた.マスターイベントの震源をNEクレーター,震源の深さ100m,地震波速度はS波速度800m/sと仮定し,相対震源決定を行った.その結果,同一火口で発生する地震の震源の深さは70~225mの範囲に求められた.本手法を用いれば,大量のデータに対しても地震波の読み取りを自動的に行うことができるので,今後解析の数を増やすことにより,ストロンボリ火山での爆発源の時空間変化をモニターすることが可能になると考えられる.