日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC48] 火山防災の基礎と応用

2015年5月24日(日) 11:00 〜 11:45 A05 (アパホテル&リゾート 東京ベイ幕張)

コンビーナ:*萬年 一剛(神奈川県温泉地学研究所)、宝田 晋治(産業技術総合研究所地質調査総合センター)、藤田 英輔(防災科学技術研究所観測・予測研究領域 地震・火山防災研究ユニット)、佐々木 寿(アジア航測株式会社)、座長:萬年 一剛(神奈川県温泉地学研究所)

11:15 〜 11:30

[SVC48-09] G-EVER火山災害予測支援システム,アジア太平洋地域地震火山ハザード情報システム,地質情報総合共有システムの構築と展望

*宝田 晋治1バンディバス ジョエル1石川 有三1西岡 芳晴1長津 樹理1G-EVER 推進チーム 1 (1.産総研地質調査総合センター)

キーワード:G-EVER, 火山防災, 災害予測, シミュレーション, アジア太平洋, 国際標準化

1. G-EVER火山災害予測支援システム
G-EVERの火山災害予測支援システムWGでは,火山防災のための支援システムとして,火山噴火の進行のさまざま段階で,噴火予測,被害想定,避難等に利用可能な,火山災害予測支援システム(http://volcano.g-ever1.org)の構築を進めている(Takarada, et al, 2014).現在,火山の噴火履歴,火山噴火データベース,数値シミュレーションを統合化したシステムを構築中である.試験公開中の火山災害予測支援システムでは,全世界の約3,300の第四紀火山分布図及びリストから,任意の火山を検索・表示し,数値シミュレーションを行うことが可能である.個々の火山のより詳細な噴火履歴について,現時点では,スミソニアン,VOGRIPA,産総研日本の火山,ASTER火山衛星画像データベースの該当火山のページにアクセスして調べることができる.さらに,WOVOdatやNOAAのデータベースとの連携を進めている.本システムでは,エナジーコーンモデル及びTitan2Dによるオンラインシミュレーションが可能である.ASTER Global DEMや国土地理院10mメッシュDEMにより,ほぼ全世界中の第四紀火山の検討が可能である.エナジーコーンモデルでは,新たに標高タイルデータを利用した高速表示版を開発した(g-ever1.org/quick/).高速表示板では,噴火地点を移動すると瞬時に再計算結果が表示される.Titan2Dでは,既存のASTER GEMや10m標高データに加えて,ユーザー自らが作成したgeotif等の標高データをアップロードし,演算する機能を追加した.また,output_summary等のより詳細な演算結果のダウンロード機能,発生域・流出口・流出方向・初速度をMap上に図示する機能を実装し,さらに実践的に利用できるシステムとして改良した.今後は,Tephra2, LaharZについても実装を進める予定である.

2. アジア太平洋地域地震火山ハザード情報システム
アジア太平洋地域地震火山ハザード情報システム(ccop-geoinfo.org/G-EVER)は,アジア太平洋地域の地震,津波,火山噴火に関する災害履歴,災害分布,ハザード関連情報の総合閲覧検索システムであり,地震,津波,火山噴火関連の詳細情報データベースとしても機能する.過去の地震や火山噴火の規模,災害の規模ごとに地図上に表示する機能に加えて,地震,津波災害の分布,降下テフラ,火砕流堆積物等の火山噴出物の分布等を表示する機能など,災害履歴や災害予測情報の比較検討が容易にできる機能を開発中である.2014年7月より試験公開を開始している.1,000名以上の犠牲者を出した地震の分布や,M6以上の過去100年間,1年間,1ヶ月,1週間,今日の地震の分布,主要大地震の震源域を表示することができる.また,火山については,各国の地域毎の検索表示機能や主要火山データベースへのリンク機能がある.インドネシアCVGHMとの共同プロジェクトでは,インドネシアのすべての活火山の火山噴火写真,衛星画像,地質図,ハザードマップ,噴火履歴,災害履歴,引用文献をオンライン上で表示するインドネシア火山情報システムを開発した.

3. CCOP地質情報総合共有システム
CCOP(東・東南アジア地球科学計画調整委員会)の新規プロジェクトとして,2014年10月より5カ年計画で,東・東南アジア地質情報共有基盤整備プロジェクト(GSi Project)が,スタートした.本プロジェクトは,東・東南アジア地域の14カ国が参加しており,CCOP諸国の各種地質関連情報の共有化,国際標準化,GISを用いた国際データベースの構築,アジアからの情報発信とプレゼンスの向上を目指し,CCOP地質情報総合共有システム(ccop-geoinfo.org/GeoPortal/)の構築を進めている.本プロジェクトでは,地震・火山関連の情報に加えて,各国の地質調査機関が保有する地質図,環境関連データ,地下水データ,鉱物資源データ,リモートセンシングデータ,地球物理関連データ,地形図データ等の総合共有化を目指している.各国のデータの数値化,国際標準化,共有化を進めているところである.現在,目的毎にポータルサイトを作成する機能や,比較的容易にGISデータの登録が可能な仕組みを提供している.このプロジェクトを通じて,ハザード・リスク評価に利用可能な各種のデータの整備が進むことが期待される.