18:15 〜 19:30
[HTT31-P03] ストロンチウム-鉛同位体比を用いた能登半島に飛来する大気エアロゾルの起源推定
キーワード:Sr-Pb同位体, 桜島噴火, 越境汚染, 夏季における汚染大気
一般的に夏季の日本における地上付近の大気質は、太平洋高気圧の影響等により大陸からの長距離輸送による影響が相対的に弱まると考えられてきた。しかし、近年、夏季においても比較的高いPM2.5濃度が報告される事例が増えている。こうした高濃度エアロゾルの起源については、夏季でも一定の気圧配置の下で大陸から汚染空気塊が流入する可能性が指摘される一方、近年活発化している桜島など国内の火山起源物質の寄与についても無視できず、未だ議論の余地が残されている。
岩石や鉱物中のSr、Pb同位体比は、その形成年代などによって変化するため、大気エアロゾルの起源推定にも利用されている。本研究では、発生源地域により異なるSrやPbの同位体比の特性を利用して、2014年6月26日~7月30日に能登半島に飛来した大気エアロゾルの起源推定を行った。
大気エアロゾルの採取は、石川県能登半島の先端に位置する金沢大学大気観測スーパーサイト (NOTOGRO: NOTO Ground-based Research Observatory, 北緯37.45度、東経137.46度) で行った。大気エアロゾルの採取は、建物の屋上に設置したハイボリュームエアサンプラー (AH-600F, SHIBATA) を使用し流量700L/minで行った。インパクターを用いて直径2.5μm以上の粗大粒子のみを12.6 × 16.6cmの石英フィルター上に採集し、1週間ごとに交換した。サンプルは採集後のフィルターに5%酢酸溶液を10cc加え、12時間反応させた溶液と、残りを硝酸-塩酸-フッ化水素酸で分解させたものとに分けた。Sr-Pb同位体比測定には二重収束型マルチコレクタICP-MS (NEPTUNE, Thermo Scientific) を使用した。
採集地点が沿岸域であることから、弱酸可溶性物質 (5%酢酸溶液に溶解したもの) は海塩のSr同位体比の0.70918に近い値をとった。一方で、難溶性物質のSr同位体比は弱酸可溶性物質よりも高く、特に、7月16日のサンプルについては期間中最も値が高かった(87Sr/86Sr = 0.712779)。先行研究との比較から、中国北部の難溶性の土壌のSr同位体比の影響を受けていると考えられる。ちょうどこの期間、同地点では高濃度のPM2.5が観測されており、この高濃度エアロゾルの事例に関しては、夏季の中部地域においても大陸から汚染物質を含む気塊が輸送されていることを裏付ける結果となった。
岩石や鉱物中のSr、Pb同位体比は、その形成年代などによって変化するため、大気エアロゾルの起源推定にも利用されている。本研究では、発生源地域により異なるSrやPbの同位体比の特性を利用して、2014年6月26日~7月30日に能登半島に飛来した大気エアロゾルの起源推定を行った。
大気エアロゾルの採取は、石川県能登半島の先端に位置する金沢大学大気観測スーパーサイト (NOTOGRO: NOTO Ground-based Research Observatory, 北緯37.45度、東経137.46度) で行った。大気エアロゾルの採取は、建物の屋上に設置したハイボリュームエアサンプラー (AH-600F, SHIBATA) を使用し流量700L/minで行った。インパクターを用いて直径2.5μm以上の粗大粒子のみを12.6 × 16.6cmの石英フィルター上に採集し、1週間ごとに交換した。サンプルは採集後のフィルターに5%酢酸溶液を10cc加え、12時間反応させた溶液と、残りを硝酸-塩酸-フッ化水素酸で分解させたものとに分けた。Sr-Pb同位体比測定には二重収束型マルチコレクタICP-MS (NEPTUNE, Thermo Scientific) を使用した。
採集地点が沿岸域であることから、弱酸可溶性物質 (5%酢酸溶液に溶解したもの) は海塩のSr同位体比の0.70918に近い値をとった。一方で、難溶性物質のSr同位体比は弱酸可溶性物質よりも高く、特に、7月16日のサンプルについては期間中最も値が高かった(87Sr/86Sr = 0.712779)。先行研究との比較から、中国北部の難溶性の土壌のSr同位体比の影響を受けていると考えられる。ちょうどこの期間、同地点では高濃度のPM2.5が観測されており、この高濃度エアロゾルの事例に関しては、夏季の中部地域においても大陸から汚染物質を含む気塊が輸送されていることを裏付ける結果となった。