日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI37] 情報地球惑星科学と大量データ処理

2015年5月28日(木) 11:00 〜 12:45 203 (2F)

コンビーナ:*豊田 英司(気象庁予報部数値予報課)、若林 真由美(基礎地盤コンサルタンツ株式会社)、野々垣 進(独立行政法人 産業技術総合研究所 地質情報研究部門 情報地質研究グループ)、豊田 英司(気象庁予報部数値予報課)、村田 健史(情報通信研究機構)、寺薗 淳也(会津大学)、堀 智昭(名古屋大学太陽地球環境研究所 ジオスペース研究センター)、大竹 和生(気象庁気象大学校)、堀之内 武(北海道大学地球環境科学研究院)、座長:豊田 英司(気象庁予報部数値予報課)、若林 真由美(基礎地盤コンサルタンツ株式会社)

11:00 〜 11:15

[MGI37-17] データ活用型天文学の構築経験と科学におけるデータ利用を取り巻く状況

*大石 雅寿1 (1.国立天文台 天文データセンター)

キーワード:データ活用型天文学, アーカイブデータ活用, 日本学術会議, ICSU, RDA

第4の科学手法であるデータ活用型研究手法は、様々な分野で、その分野の特徴を活かしながら構築されている。天文学では2000年代の初め頃からデータ活用型天文学を構築しようという機運が高まった。天文データを容易に流通させるためには、データ発見やデータ形式を「標準化」することが極めて重要であり、このために国際ヴァーチャル天文台連合 (International Virtual Observatory Alliance http://www.ivoa.net/ )が結成された。私達もIVOAの当初から標準化作業に参加し、その標準に沿った実装を行い、Japanese Virtual Observatory (http://jvo.nao.ac.jp/)を運用している。ヴァーチャル天文台を利用したことが陽に記載されている査読論文は既に1000を超えている。

 IVOAの活動は、ICSU(国際科学会議)における世界的なデータ利用枠組みであるWDS (World Data System)の構築の際にも成功モデルの一つとされた。WDSの立ち上がりを踏まえて日本学術会議情報学委員会では、我が国におけるさらなるデータ利用を促進するための諸活動が展開されてきた。つい最近では、課題別委員会「オープンサイエンスの取組に関する検討委員会」の設置が決まった。これは、欧州を中心としてRDA (Research Data Alliance)の議論が進んだり、また、G8サミットでもオープンアクセスとオープンデータに関する事項が議論されたことに呼応しようとするものである。

 一方課題も山積している。我が国の研究者コミュニティには、実験データは自らが取得するという意識が未だ根強く、アーカイブデータを活用している研究者は少数である。従って、データ活用型科学を推進するためには、利用者の視点に立ったインターフェースは当然のこととして、これに加えて、研究者のメンタリティに訴えかける効果的な”広報活動”も必須である。