15:00 〜 15:15
[MAG38-18] FIBとIPオートラジオグラフィを用いた福島汚染土壌粒子中の放射性セシウムの分布解析
キーワード:風化黒雲母, 福島原発事故, 放射性セシウム, オートラジオグラフィ, FIB
最近我々は特殊加工を施したイメージングプレート(IP)を使ったオートラジオフラフィと電子顕微鏡技術を組み合わせることにより,福島県で採取された放射能汚染土壌中の放射性粒子を特定した(Mukai et al., 2014).これらの粒子はおよそ数十μmの大きさであるが,さらに粒子中の放射性セシウムの分布を明らかにすることは,土壌中でのセシウムの動態について考える上で重要である.しかし,IPオートラジオフラフィの空間分解能はせいぜい数百μmであり、これでは粒子中の放射能の分布を見ることができない.そこで我々は, IPオートラジオグラフィに加えて集束イオンビーム(FIB)による微細加工技術を用いることにより,土壌粒子中の放射性セシウムの分布の解明に成功した.
Mukai et al. (2014) の結果に基づき,(1) 風化黒雲母,(2) 鉱物微粒子を含む有機粒子,(3) 微細粘土粒子の凝集体の3種類の放射性土壌粒子について解析を行った.まずFIBを用いて平板状の風化黒雲母を数μmのいくつかの小片に切断し,さらにIPオートラジオグラフィで区別できるようマイクロマニピュレータを使ってこれらの小片を十分な距離に分離した.オートラジオグラフィの結果,これらすべての小片から放射能が検出され、放射性セシウムが風化黒雲母の粒子中にほぼ均質に分布していることを示した。これは放射性セシウムを含む溶液が,風化黒雲母に発達した劈開の空隙を通って,結晶内部へ浸透したためと考えられる.一方有機粒子では,同様に得られたいくつかの小片のうちわずか1,2個の小片のみが放射能をもっていた.すなわちセシウムは有機粒子においては局在しており,限られた鉱物粒子や有機物に濃集していると考えられる.最後に粘土鉱物の凝集体についてはIP上でマイクロマニピュレータを用いて粉砕・分散させた.その結果,多くの小片は放射能を示し,放射性セシウムがこの粒子中においては広く分散していることを示唆した.
Mukai et al. (2014) の結果に基づき,(1) 風化黒雲母,(2) 鉱物微粒子を含む有機粒子,(3) 微細粘土粒子の凝集体の3種類の放射性土壌粒子について解析を行った.まずFIBを用いて平板状の風化黒雲母を数μmのいくつかの小片に切断し,さらにIPオートラジオグラフィで区別できるようマイクロマニピュレータを使ってこれらの小片を十分な距離に分離した.オートラジオグラフィの結果,これらすべての小片から放射能が検出され、放射性セシウムが風化黒雲母の粒子中にほぼ均質に分布していることを示した。これは放射性セシウムを含む溶液が,風化黒雲母に発達した劈開の空隙を通って,結晶内部へ浸透したためと考えられる.一方有機粒子では,同様に得られたいくつかの小片のうちわずか1,2個の小片のみが放射能をもっていた.すなわちセシウムは有機粒子においては局在しており,限られた鉱物粒子や有機物に濃集していると考えられる.最後に粘土鉱物の凝集体についてはIP上でマイクロマニピュレータを用いて粉砕・分散させた.その結果,多くの小片は放射能を示し,放射性セシウムがこの粒子中においては広く分散していることを示唆した.