日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-RD 資源・鉱床・資源探査

[S-RD41] 資源地質学の新展開:鉱化流体の起源と進化

2015年5月25日(月) 11:00 〜 11:45 106 (1F)

コンビーナ:*実松 健造(独立行政法人 産業技術総合研究所 地圏資源環境研究部門 鉱物資源研究グループ)、野崎 達生(海洋研究開発機構地球内部ダイナミクス領域)、大竹 翼(北海道大学大学院工学研究院 環境循環システム部門)、高橋 亮平(秋田大学国際資源学部)、座長:高橋 亮平(秋田大学国際資源学部)、大竹 翼(北海道大学大学院工学研究院 環境循環システム部門)

11:33 〜 11:36

[SRD41-P02] 沖縄トラフ鳩間海丘熱水域における熱水性鉱石の鉱物学的特徴

ポスター講演3分口頭発表枠

*戸塚 修平1中野 宏樹1島田 和彦1石橋 純一郎1野崎 達生2 (1.九州大学大学院理学府地球惑星科学専攻、2.海洋研究開発機構海底資源研究開発センター)

キーワード:沖縄トラフ, 鳩間海丘, 海底熱水鉱床, 含銀四面銅鉱

南部沖縄トラフに位置する鳩間海丘の頂上火口では熱水活動が確認されている。鳩間海丘熱水域の熱水性鉱石は硬石膏や重晶石といった硫酸塩鉱物に富み、熱水の組成はCl-に乏しく最高300℃の温度が記録されている。硫酸塩鉱物に富むという特徴は、気液分離の際に金属元素が気相に取り込まれにくいことに関連すると考えられ、硫化鉱物の沈殿が海底下で起こっていることが期待できる。海底下における硫化鉱物の鉱化作用の可能性を調べるため、我々は鳩間海丘熱水域の熱水性鉱石で堆積物に埋まっていた試料を集中的に採取した。本講演では、そのような様々な鉱石試料の分析結果に基づいて、鉱物学的、地球化学的特徴を議論する。
試料はYK07-04、NT08-13、NT11-20 、KY14-02の各航海おいて、しんかい6500およびハイパードルフィンによって海底から採取された15試料を使用した。鉱物同定には反射顕微鏡での観察とXRD(X線回折)、EPMA(電子線マイクロアナライザ)を使用した。またEPMAで硫化鉱物の化学組成を分析した。
各試料の鉱物組み合わせと組織から、試料を5つのタイプに分類した。Type I (fine-grained sulfide ore)はdendritic組織が見られたことから急冷で生じたものだと思われた。Type II (sulfide dominant ore)は閃亜鉛鉱、方鉛鉱、四面銅鉱といった硫化鉱物に富んでいた。Type II のなかでも特異な2試料を、(1)Sbを化学組成に含む鉱物が非常に多く見られたType II' (Sb-rich chimney) と、(2)結晶の粒径が1cmと大きいType II'' (coarse-grained sulfide ore) に分類した。Type III (barite dominant As-rich chimney)は重晶石とAsを含む鉱物がよく観察された。
硫化鉱物の化学組成から2つの興味深い特徴がわかった。1つは閃亜鉛鉱中のMnの濃度で、Type Iの試料で最大11.4%と高い値を示した。またMnに乏しくFeに富む試料も見られた。もう一つは四面銅鉱中のAg濃度で、Type II’の試料で8.27~18.90%と高い値を示した。四面銅鉱ではAgの濃度とSb/(Sb+As)の値に正の相関があった。またその他のAg鉱物の組成からもAgはSbとよく挙動を共にしていると考えられた。