17:15 〜 17:30
[MIS24-05] 日本海東縁に分布する表層型メタンハイドレートの産状と分布 -「白嶺」によるガスチムニー掘削(HR14)の結果報告
キーワード:表層型メタンハイドレート, 日本海, ガスチムニー構造, 海洋掘削
2014年6月21日から7月10日にかけて、JOGMEC所有の「白嶺」により、日本海東縁の上越沖および秋田・山形沖のガスチムニー構造が発達する地形的高まりを掘削し、上越沖の上越海丘、秋田・山形沖の飛島西方では想定されていたメタンハイドレートの安定領域下限を越え、それぞれ122m、111.5mまで掘削することに成功した。飛島西方の地形的高まりでは、SBPに特徴のある近接する2ヶ所、縞状構造が発達する部分と音響的ブランキングを示すガスチムニー構造が発達する部分をそれぞれ掘削した。その結果、縞状構造が発達する部分では深度約48mまで掘削したがメタンハイドレートは無かった。一方、ガスチムニー構造が発達する部分では、深度約6m付近から下位では多くのメタンハイドレートが採取でき、メタンハイドレートはガスチムニー構造に特徴的に発達することがわかった。
掘削によって得られた表層型メタンハイドレートは、見かけ上の特徴からmassive, granular, platy, veinedなどと分類したが、massiveとgranularは比較的浅い部分で、一方platyとveinedは全体的に産するものの特に深い部分で特徴的に観察された。特に上越沖ではこの傾向が明瞭であった。量的には、深度40-60mより浅い部分においてメタンハイドレート試料が多く得られた。また、固体のメタンハイドレートだけでなく、フリーガスも存在することが確認された。
現時点ではわずか3カ所の掘削結果であり、20mを超える深いコアはそれぞれ1本ずつにすぎないため、特に水平方向の発達程度がわからないなど一般化はできないが、表層型ガスハイドレートを産するガスチムニー構造のモデルを提示する。また、分類した各タイプのでき方を想定することにより、日本海東縁に分布する表層メタンハイドレートの形成過程についての考察を行った。それに基づくと、数十万年の継続的ガス供給と静的なメタンハイドレート安定領域という定常モデルではなく、比較的最近に現在のようなメタンハイドレートの深度分布を形成する顕著な事件があったことを示唆する。
謝辞:「白嶺」運航に携わったJOGMEC関係者の皆様には記して謝意を表します。本研究は平成26年度経済産業省「メタンハイドレート資源開発促進事業」の一環として行われました。
掘削によって得られた表層型メタンハイドレートは、見かけ上の特徴からmassive, granular, platy, veinedなどと分類したが、massiveとgranularは比較的浅い部分で、一方platyとveinedは全体的に産するものの特に深い部分で特徴的に観察された。特に上越沖ではこの傾向が明瞭であった。量的には、深度40-60mより浅い部分においてメタンハイドレート試料が多く得られた。また、固体のメタンハイドレートだけでなく、フリーガスも存在することが確認された。
現時点ではわずか3カ所の掘削結果であり、20mを超える深いコアはそれぞれ1本ずつにすぎないため、特に水平方向の発達程度がわからないなど一般化はできないが、表層型ガスハイドレートを産するガスチムニー構造のモデルを提示する。また、分類した各タイプのでき方を想定することにより、日本海東縁に分布する表層メタンハイドレートの形成過程についての考察を行った。それに基づくと、数十万年の継続的ガス供給と静的なメタンハイドレート安定領域という定常モデルではなく、比較的最近に現在のようなメタンハイドレートの深度分布を形成する顕著な事件があったことを示唆する。
謝辞:「白嶺」運航に携わったJOGMEC関係者の皆様には記して謝意を表します。本研究は平成26年度経済産業省「メタンハイドレート資源開発促進事業」の一環として行われました。