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[AHW27-23] 筑後川底質コア試料の堆積学的解析に基づく細粒分の洪水時移送
キーワード:筑後川, 河口, 底質コア, 洪水, 掃流砂
九州北西部を流れる筑後川は,有明海に流入する河川のなかでは最大の流域面積を有しており,有明海の環境に対する負荷率も大きいことが想定される.有明海は近年底質の泥化が進行し,その原因として筑後川流域からの砂の供給量の減少が疑われた.そこで筑後川を管理する国土交通省筑後川河川事務所では,筑後川下流域,土砂流出の動態を明らかにすることを目的として,感潮域および河口部海域において底質調査や河床変動調査等のモニタリング実施してきている.その一環として2008年に感潮域の河道で19地点,海域部6地点で底質コア試料採取が実施された.このうち河道内の4地点では出水の後にもほぼ同一箇所で底質コアが採取され,出水前後のコア対比による底質の移送動態の解明が期待された.そこで河道内で採取された約2m長のコア試料に対して稠密な堆積学的観察・分析を加えた.まず剥ぎ取り,軟X線試料を作成し,堆積構造を観察した.さらに2cm間隔で粒度分析・帯磁率測定を実施し,層相を対比した.その結果,4回の出水イベントを挟んだ5ヶ月の間に,河口部0 kmコア採取地点では最表層部約5 cmが削剥され,36 cmの砂優勢堆積物が付加されたと解釈することができた.この付加堆積物は0.5 φ付近にピークを有する中~粗粒砂で主として構成されていることから,中規模の出水でも河口部まで土砂が移送・供給されていたと解釈することが可能である.