日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 U (ユニオン) » ユニオン

[U-05] Future Earth - 持続可能な地球へ向けた統合的研究

2015年5月25日(月) 16:15 〜 18:00 103 (1F)

コンビーナ:*氷見山 幸夫(北海道教育大学教育学部)、中島 映至(東京大学大気海洋研究所)、谷口 真人(総合地球環境学研究所)、大谷 栄治(東北大学大学院理学研究科地学専攻)、座長:谷口 真人(総合地球環境学研究所)

16:55 〜 17:15

[U05-17] 市民のための地球システムリテラシー

*池辺 靖1 (1.日本科学未来館)

キーワード:環境問題, 地球システム, 炭素循環, リモートセンシング

気候変動や生物多様性など、さまざまな地球規模課題の解決には、地球システム全体のメカニズムを理解することが必要である。その理解は科学者だけにとどまらず、政策決定者および政策を選ぶ立場である市民の側にも求められるが、非専門家としてどのサイエンスをどのレベルまで理解しておく必要があるのだろうか。我々日本科学未来館では、"100億人の持続可能な社会の実現"を活動目標に掲げ、そのための科学コミュニケーション活動として、市民が持つべき地球システムリテラシーの研究と、それらを常設展示などを通じて普及させることに取り組んでいる。
地球システムリテラシーとして、我々が最も重要視しているのは、生態系における炭素循環である。食物網の中で生物同士が多様に緊密につながっていることは、比較的良く知られているが、温暖化を始めとする環境問題の本質を理解する上では、原子レベルでの物質循環を把握しておく必要がある。そして、この炭素循環を乱すことで環境問題を引き起こしている人間活動の問題点は、次の3つの"悪行"として理解できる。それらは、①生物のつながりを断ち切る、②流れるモノの量を狂わす、③一方向だけの流れをつくる、である。環境問題と言われている様々な現象と、その解決策として提案されている様々な環境技術について、これら3つの視点から評価して、適切な選択を行えるようになることが、大事な地球システムリテラシーの一つと考える。
また、これら3つの"悪行"の実態を把握することも重要である。今や地球の隅々まで人の手が入り、大規模な人間活動により地球規模の改造が行われている様子は、人工衛星によるリモートセンシングデータなどを通じて克明に捉えられている。未来館において、これらのデータを用いた人間活動の見える化を図っている展示活動について紹介する。